旅が好きです。
どんな角度からも好きです。
観光やこれといって何かするべきこともないような場所に行っても、
やっぱり旅は楽しいと感じます。
自分の住む街とは違う気温に一気に気分を変えられ、
知らなかった場所を知っていくワクワク感に包まれながら町を歩く。
そこにいる人たちは誰も自分のことを知らないという解放感。
当たり前と思っていた習慣が、自分の住む場所の習慣だったことに気付き驚く。
そして、どんな旅であろうと、美味しいものを食べることは忘れません。
秋田・由利本荘に、ぶらりがんばらない旅に行ってきました。
到着したのは、秋田駅。
大阪生まれ、東京在住の私が想像した以上に都会でした。
駅前にスターバックスが2軒もありました。
(スターバックスが基準というのも、2軒で都会というのも何なのですが)。
秋田駅の駅ビル「トピコ&アルス」で土産物などを眺めつつ、商店街に抜けて歩きました。
それから、千秋公園へと向かいます。
本当は春に来た方がよかったんです。
この公園、桜が見事なようで、日本さくら名所100選にも選ばれているそうです。
でも、いいんです。
今回は、がんばらない旅なのでこれくらいでよいのです。
青々と生い茂る木々からマイナスイオンを浴び、
赤い帽子に体操服を着て走り回る秋田のちびっ子たちを園内を散策し始めました。
途中、秋田八幡神社でお参り。
公園は高台になっているので、木々の間から秋田市の街並みが見えました。
久保田城は、久保田藩主佐竹氏の居城で、
公園には城跡の石碑と復元された久保田城御隅櫓が建っています。
中に入れるみたいでしたが、ぶらりと通り過ぎました。
それから、お昼ごはんを食べに秋田駅に戻りました。
西武秋田の地下にある「七代佐藤養助」に向かいます。
お目当ては、稲庭うどんです。
稲庭うどんは、秋田県南部の手延べ製法による干しうどんで、日本三大うどんのひとつです。
稲庭うどん宗家 佐藤吉左ェ門家から二代佐藤養助が門外不出の技を受け継ぎ、
現在は七代目だそうです。
(ちなみに、銀座にもお店があるので、東京でも食べたければ食べられます)。
並んでいる方がいたので、店先に置かれた名簿に名前を書いて少し待ちましたが、
なんと4人がけの座敷に通してもらえました。
ゆっくりできるのがうれしかったです。
注文したのは、稲庭うどんと比内地鶏ご飯のセット。
稲庭うどんの方は、つるっとした食感、コシがあり、上品な味わいです。
比内地鶏ご飯、これも付けてよかったです。
鶏の出汁が染み込んだしっかりしたお味でした。
食べログ→https://tabelog.com/akita/A0501/A050101/5000022/
昼食の後は、羽越本線に乗って羽後本荘に向かいました。(ちなみに羽越本線、Suicaは使えません)。
途中日本海に近づき、キラキラと光る海面が見えました。
2両しかない電車でしたがほとんど満席で、そのほとんどの人が羽後本荘で降りました。
駅の階段には「えぐ、来てけだなぁ〜」と書かれた紙が何枚も吊り下がっていました。
どういうイントネーションで読むのか何度も心の中で復唱してしまいました。
由利本荘、とっても田舎です。
昔、「るるぶ東北ドライブ」というガイドブックの特集デザインの仕事をしたのですが、
その本で由利本荘は、象潟・鳥海山というくくりで
南部のにかほなどと一緒にまとめられちゃっています。
見どころなんか、ほんのちょっとしかありません。
鳥海山もにかほよりも更に南で、車がないと行けず、
ホテルの屋上から遠くの方にうっすらと影だけ見えました。
そんな由利本荘ですが、なかなか素晴らしいお寿司屋さんがあります。
由利橋の近くにある「鮨駒」さん。
店内には座り心地の良さそうなふかふかの椅子が並ぶカウンターがあり、
中では板前さんが忙しそうに寿司を握っています。テーブル席は2つ。なかなか小洒落た雰囲気です。
冷えた白ワインをお供に、本日のメニューから適当に注文。
刺身三点盛り、わら炙りのカツオが本当に感動ものの美味しさでした。
稚鮎の天ぷらに、牡蠣のソテーも美味しく。
さすが寿司屋だけに、寿司が極上でした。
寿司なんて、ネタとシャリのセットなだけなのに、
なぜこうもレベルが違ってくるのか、不思議なものです。
食べログ→https://tabelog.com/akita/A0506/A050601/5006041/
翌日は、本荘公園をぶらりと歩いてみました。
私の担当したガイドブックに唯一載っていた由利本荘の見どころです。
かなり小さい扱いですが。
こちらは、石垣を使わず土塁と壕による城として本城豊前守満茂が築いた城址で、
大正時代に史跡公園として整備されたそうです。
入り口付近は、整備の人たちがいましたが、高台に上がると人の気配が感じられず、
なんだか時間が止まったように感じました。
神社でお参りし、木々の合間から見える町を見ながら、しばらくボーッとしてみました。
ランチに向かったのは、公園入り口を右手に行ったところにある
「かつ喜」というとんかつ屋さん。
なかなか上品なお店で、お客も上品。地元で愛される名店って感じです。
こちらで注文したのはロースカツ定食。
赤ワインをお供に先にやって来たすり鉢でゴマをすりました。
カツがやって来ると鉢にソースを入れ、それに付けて一口。
衣がサクサク、肉はジューシー、ゴマの香りも一緒にものすごいハーモニーです。
「旅って、サイコー」って思いましたね。
食べログ→https://tabelog.com/akita/A0506/A050601/5000463/
その後は、公園の南にある鶴舞温泉へ。
昼風呂です。
昼でも、けっこうお客さんいましたが、タイミング良く露天風呂を独り占めし、これがまた極楽。
休憩所は大きな窓ガラスがあり、御手作堤という池が一望できます。
なかなかの景観。
おじいさん、おばあさんのしゃべる秋田弁に耳を傾けながら、しばしのんびり。
夜は、「串焼き 一平」というお店に行きました。
シャブリをお供に、ガサエビ焼き。
ガサエビは日本海や北海道で水揚げされるクロザコエビのことで、
鮮度が落ちやすく市場に出回らないものです。
いわしの刺身もなかなか美味しく。
比内地鶏もいただきました。
忙しかったのか、メニューが出てくるのに1時間以上かかかるというのが、ちょっと残念でしたが。
翌日は、秋田駅に戻ります。
戻って早々ランチに向かったのは、駅ビル「トピコ&アルス」のレストラン階にある「比内地鶏や」。
こちらの親子丼がお目当てです。
親子丼には、2ランクあるようです。
究極親子丼(1,380円)と極上親子丼(1,080円)。
その違いは、お肉と卵のどちらも比内地鶏なのが究極の方で、
卵は比内地鶏じゃないのが極上の方みたいです。
私は、そのどちらでもない比内地鶏の親子丼と田沢湖冷麺セットを注文しました。
親子丼の方は、極上親子丼と同じだと思うのですが。
親子丼といえば、鶏肉の煮たときの臭さが嫌という方もいるかと思いますが、
こちらは一度炭火で焼いたあとに卵で閉じているので、
臭みもなく香ばしさが鶏の旨みを引き立ててとても美味しくいただけました。
田沢湖冷麺の方は、韓国冷麺のような麺の上にチキンととんぶりが載っていて、
少し酸味のある出汁にわさびをまぜながら食べます。
さっぱりしていて、これが意外にもものすごく美味しいかったのです。
食べログ→https://tabelog.com/akita/A0501/A050101/5004860/
ランチのあとは、「秋田県立美術館 平野政吉コレクション」に行きました。
こちらは、秋田の資産家、平野政吉の収集したコレクションを見ることができる美術館です。
そのコレクションの中心は、藤田嗣治の絵画です。
藤田嗣治は、戦前からパリで活動していた画家で、
「乳白色の肌」とよばれた裸婦像が、有名です。
美術館建設のために描かれたという「秋田の行事」という壁は圧巻でした。
2015年にオダギリジョーが藤田嗣治の役を演じた映画「Foujita」、
東京に戻ったらDVDをレンタルして観ようと思っていたのですが、
そもそもDVD化されてなかったみたいです。不評だったのでしょうか、残念です。
秋田の旅、締めくくりは風呂です。
「華のゆ」は、ホテルに併設された健康ランド。
別に何でもないところです。
が、お風呂がいっぱいあって、漫画喫茶みたいな場所もあって漫画も読み放題!
お風呂でゆっくりして、漫画16冊読んで、秋田旅行は終了したのでした。
特に特別なことは何もない旅でしたが、しなくちゃいけないことがない分、
本当に癒され頭の中もリフレッシュできたのでした。
東京に戻ったら、いつも同じように考えがちなことも別の方法を選ぶようになったり、
旅っていろんな効果があるものです。