「万が一転覆したら、どうやって日本に帰ればいいんですかね?」
「いや、いや、転覆するはずなんてないですよ!」
Caye Caulker社のフェリーターミナルで出会った日本人夫婦と、
そんな会話をしていたものの、
出発したフェリーは、大きく上下に揺れた。
海面を何度も何度も跳ねる。
「転覆……?」
なんて冗談を言っていたけど、しばらくすると揺れは緩やかになり、
睡魔に襲われるくらいだった。
天気があまりよくなかったせいか、海の色は濁って見えた。
途中ひとつの島を経由し、
キーカーカーまでは1時間くらいで到着する。
桟橋に到着すると、フェリーに乗っていた旅行者は散り散りに
それぞれの目的の宿へと向かった。
少し出遅れ気味で、私もまた目的の宿に向かう。
地図を見ながらそれらしき場所に行くと、近くの商店に道を尋ねた。
「さっきの旅行者にも聞かれたわ」。
そう言って、場所を教えてくれた。
これは、ヤバい。
Deysy’s Guest Houseの前には、すでに1組のカップルがいた。
木造の建物があるだけで、受付する場所がないように見えた。
人もいない。
カップルは諦めモードで宿の敷地から出て行った。
私は、近くにいた地元の人に、ここのオーナーは知らないかと聞いてみた。
すると、宿の隣の建物から呼んで来てくれた。
そして、無事、チェックインすることができた。
後、1室だったらしい。
大晦日の超ハイシーズン。宿を探すのに、困難する者も多く、
メイン通りには、たくさんの旅行者が宿を探し彷徨っている。
なんとも、奇跡だ。
荷物を部屋に置くとさっそく、出かけた。
舗装道路のないキーカーカー。
目抜き通りのフロントストリートは、
旅行者向けの店が並んでいる。
旅行会社に、レストラン、ゲストハウス。
キーカーカーには車はなくて、ゴルフカートが移動手段だ。
宿のおばさんに教えてもらったレストランに行ってみたら、
残念ながらつぶれていたけど、
その近くにいいレストランがあったので、そこで地元料理を食べた。
夕方、宿のポーチで一服していたら、日本人の男の人に出会った。
同じ部屋に日本人の女の人と泊まっているそうで、
3人で晩ご飯に行くことになった。
同じ宿に住み込んでいるカナダ人が経営するピザ屋に行った。
ピザとビールの大晦日。
店中の人たちとみんなで、新年のお祝いもした。
年明け30分前には、島の一番北に向かった。
商店でビールを買って、歩きながら飲んだ。
キーカーカーの店は、どれも中国系の人々が営んでいる。
フロントストリートは、島中にいる旅行者や地元の人たちも、
みんな北に向かって歩いていた。
北の端にバーがあり、
その中では熱気ムンムンでみんな踊りまくっている。
年越しが近づくと、バーの横で花火をあげる人たちが増えた。
「もうすぐだね」
なんて言っているうちに、どうやら年が明けてしまったらしい。
カウントダウンらしきものは、なかったが、
その瞬間、バーの裏から花火が連続で上がった。
「Happy New Year!」
翌朝は早めに起きて、マリオツアーの前に出発の15分前に集合した。
シュノーケリングセットを借りると、
半日ツアーのメンバー15人と、
キャプテン・マリオと女性スタッフの計17名で出発する。
海岸沿いを歩いて、桟橋からボートに乗った。
「Are you ready?」
キャプテン・マリオの掛け声とともに出発した。
ボートは大きく揺れながら、カリブ海を走る。
太陽は雲の影から出たり入ったりで、少し肌寒かった。
太陽が顔を出した時のカリブ海のブルーは、
言葉を失うほどきれいで、見渡す限りが絶景だ。
しばらくすると、1つ目のポイントに到着。
海の上からも、エイが泳いでいる影が見える。
女性スタッフが、餌をまくと、さらにたくさんのエイが集まった。
餌付けされているので、人には慣れているらしい。
さっそく、海に入る。
ヒラヒラと薄っぺらい身体をなびかせながら泳ぐエイの
すぐ近くを、一緒に泳ぐ。
その中には、小さなサメもいた。
私は、怖くて触れなかったけど、エイを抱えて泳ぐ者もいた。
餌に反応したのは、エイだけではなく、カモメも同じ。
鳴き声を発しながら、ボートの上を飛び交った。
その次に向かったのは、サンゴ礁のあるポイント。
海が所々に、深いブルーになっているのは、サンゴ礁の影だったようだ。
さっそく、海の中に入り、サンゴ礁に群がるカラフルな魚たちを眺めた。
サンゴは茶色っぽく、カラフルなものではなかった。
グレートバリアリーフのサンゴに似ている。
緩やかな波で、泳ぎやすい海域だが、
サンゴ礁の広がるバリアリーフの奥は波しぶきが立っている。
配られたフルーツを食べながら向かった3つ目のポイントは、
また別のサンゴ礁。
サンゴ礁にあまり違いは見られなかったけど、
ここでは、緑とオレンジ色した魚を見ることができた。
3時間のツアーを終えて、海岸に戻ってくると、
ピンク色の花が配られた。
幸せを祈って海に流す。
年始めから、なかなか素敵な体験をすることができた。
今年1年は、とてもいい年になりそうだ。
解散すると、宿に戻りシャワーを浴びた。
シャワーを浴び終わる頃、上鶴さん夫妻が訪ねてくれた。
そして、一緒に昼食に向かった。
昨日のお昼に行ったお店は、正月休みのようだったので、
地元の人に美味しいお店を聞いて向かった。
フロントストリートの中心にあるハッピーロブスターというお店が、
比較的安くて美味しいとのこと。
しかし、ハッピーロブスターは人気店だけにお昼を過ぎても満席だった。
仕方がないので、その前にある海沿いレストランに入ることにした。
海風が心地よく店の雰囲気はこちらの方が素敵。
ロブスターを注文しようとしたら、品薄らしく、
BBQとしてなら出せると言われたのでそれを注文した。
BELIKINビールとロブスターBBQ。
最高の正月だ。
上鶴さんご夫婦と別れると、フロントストリートを北に向かって歩いた。
フロントストリートの中心地には、ラスタマンたちが陽気に店を営む。
ベリーズは、その昔、ジャマイカから黒人たちを奴隷として連れて来た
時代があった。その名残で今もラスタマンたちがそこかしこにいるのだ。
彼らは、レゲエを聞きながら「GO SLOW!」で生活をしている。
島にたくさんいる野良犬たちと一緒に歩き、
フロントストリートを北の端まで行くと、
桟橋でのんびりくつろぐ旅行者の姿が見える。
キーカーカーには、ビーチはないのだが、
浅瀬で泳ぐ人たちもいる。
海はあまりきれいではない。
商店でビールを買い、それを飲み干すと、宿に戻った。
疲れがたまっていたのか、すぐに眠ってしまった。
夜に起きると荷物をまとめた。
明日は、また国境越えだ。
【住所】P.O. Box 996, Belize City, Belize
【料金】25BLD(ツイン)
【設備】Wi-fi
【評価】★★★☆☆
フェリー(キーカーカー社)で1時間強。37km。往復29BLD。