ホテルの目の前が、バス乗り場なので安心だ。
朝、ホテルのレセプションの前でドンイルに会った。
ドンイルも同じホテルに泊まっていて、
今日同じバスでアジスアベバに向かう。
バスは、4時集合、5時頃の出発。
エチオピア第2の都市メケレから首都アジスアベバへ、
さすがにその道はきれいに舗装されていた。
緑が多く、畑や山々の見える1本道。
所々、牛やラクダ、ヤギの群れに遭遇するので、
クラクションを鳴らしながらの走行だ。
アジスアベバに到着したのは19時半頃のこと。
ドンイルも同じく安宿の集まるピアッサ地区に向かうというので、
タクシーをシェアすることにした。
バスに預けた荷物を引き取っている間に、
彼はタクシーの交渉を済ませておいてくれた(100ETB)。
彼は寡黙だけど、とても紳士的な人だ。
ピアッサ地区の彼のお目当ての宿、
「BARO PENSION」まではタクシーで15分ほどだった。
レセプションに行くと、最初、高い部屋しか空いていないと言われた。
2時間後に安いシングルルームが空くそう。
2人が泊まれる部屋もあって、それも割れば高くはなかった。
とりあえず、私のお目当ての宿「Wotoma hotel」にも行ってみた。
が、満室とのこと。
ドンイルと一緒に部屋をシェアすることにした。
テラスでネットを使っていると、
バハルダールに住む男の人が横でビールを飲んでいて、
バハルダールのトラディショナルなスカーフをくれた。
とても素敵なスカーフだった。
お腹が空いて、ドンイルと一緒に晩ごはんに出かけた。
「WOW BURGER」という店で美味しくないハンバーガーを食べた。
ドンイルは、話してみるととてもいい男の子だった。
晩ごはんを食べ終えて宿に戻った。
宿に着くと、ドンイルが何か慌てた様子で、
私に部屋の鍵を渡して、今来た道を戻って行った。
何があったのか。
しばらく経っても戻って来ないので、
何度もさっきの店までの道を行き来して、彼を探した。
彼はどこにもいなかった。
仕方ないので、部屋に戻った。
40分くらい経った頃、彼が部屋に戻って来た。
「子どもにスマホを取られた。
覚えているかい? 宿に戻る直前、ぼくの腕を掴んできた子どもがいたことを」。
そう、宿の近くで、「何かくれ」と彼の腕にしがみつく子どもがいたのだ。
ドンイルがあしらっても、
しつこくしつこく子どもは彼の腕にしがみついていた。
その隙に、彼のポケットに入っていたスマホを取ったらしい。
なんてことだ……。
ピアッサ地区は、バーやカフェの集まる地帯。
夜になると、若者が集まる。
外国人やセクシーなお姉さんが歩いていると、絡まれることが多い。
後から知ったことだけど、子どものスリ軍団もいるようだ。
昼はとても平和なんだけど、夜は気を付けなくてはいけない。
何にせよ、旅中は常に油断禁物だ。
翌朝、朝ごはんにWtoma restrantに行った。
Wi-Fiが使えるかと思いきや、まだ泊まっている宿の方が調子良さそうだ。
部屋の掃除を待って、シングルルームに移った。
ドンイルは今晩、カイロに行ってしまう。
彼は、もう使うことはないと言って、残ったマラリアの薬をくれた。
それは、メケレで探していた
メフロキンの薬「メファキン(MEPHAQUIN)」だった。
しかも4錠も。本当にありがたい。
結局、彼に会ったのはそれが最後だった。
それから、町を歩きに出かけた。
ピアッサ地区を抜け、向かうは「TOMOCA COFFEE」。
ここは世界1のコーヒーを出す店とも言われていて、
エチオピア1の老舗であり超有名店。
宿から歩いて10分ほどのところにある。
小さく趣のある店内は、コーヒーの香りが漂う。
マキアートを注文すると、
ノーマルかストロングかと聞かれ、ストロングと答えた。
出してもらったマキアートに、砂糖を入れる。
店内は立ち飲みのカウンターがあり、そこでいただいた。
香り高く、めちゃくちゃ美味しかった。
そのまま、大通りを南に向かって歩いた。
交通量の多い大通り沿いには、ビルも建っている。
そして、ここでもやっぱり道行く人に「チャイナ」と言われる。
東アジア、中東、東欧にかけて、
チャイナという言葉は侮辱の意味を含んで投げかけられる。
始めはこれと同じことだと思っていた。
しかし、ここエチオピアでは、
どうやら「外人!」くらいの意味らしいということがわかってきた。
カナダ人もチャイナと言われたと言っていたし、
私にヨーロッパ人かと聞いてきた人もいた。
エチオピア人にとって、チャイナは1番身近な外国で、
チャイナは外国の代名詞なのだ。
しばらく歩くと、土産物屋が並ぶ場所があり、
そこを越えると何やらモニュメントが見えてきた。
ちょっとした公園のようなところだったので、少し休憩をと思って行ってみた。
すると、警備員に入場のためのチップを要求された。
めんどくさいので払った。
モニュメントの前では半分へこんだボールでサッカーをしている人たちがいた。
みんなプラスチックのサンダルを履いている。
モニュメントは、ブラック・ライオン病院のものらしく、
調べではその近くに薬局があるはずだったので探した。
大通りに斜めに入る道の少し入ったところに薬局があった。
「International Pharmacy」。
そこでマラリア予防薬のメフロキンと治療薬のコアルテムを購入。
メフロキンは「エロキン(ELOQUINE)」という名の商品名だった。
そこでまた日焼け止めについて聞くと、
メケレでみつけたものよりもっと高かった。
そりゃそうだ、黒人が日焼け止めなんて使うわけない。
大通りに引き返すと、そのまま南下。
ライオン像が見えてきた。
その近くに屋外カフェスペースがあったので、
休憩がてら席につき、ついつい生ビールを飲んでしまう。
それから昨日、メケレからのバスが到着したマスカル・スクエアまで歩いた。
念のため、Selam Busでシャシャマネ行きのバスはないかと聞いてみたが、
アワサで乗り換えろと言われた。
できれば直接行きたいので、ここでチケットは買わず。
マスカル・スクエアの斜向かいに、教会をみつけた。
ちょうど礼拝の時間らしく、白い布をまとった人々が集まっていた。
教会の前では配給も行われているようだった。
教会の前の通りを、今度は北に向かって歩く。
その通りは、大統領官邸に向かう道で建物がほとんどなく、
きちんと整備されていた。
途中にあるのは、ECA(アフリカ経済委員会)とAU(アフリカ連合)の
本部であるアフリカホール。
立派な建物だ。
しばらく歩いて行くと、大統領官邸に出た。
ここは写真撮影禁止だ。
ここ以外も、エチオピアでは、政府や軍関係の建物は撮影してはいけない。
大統領官邸付近で男の子がついてきた。
ゴンダール出身のアブラハムは、おじさんの家に住みながら大学に通う。
彼は三位一体教会までついて来た。
大統領官邸の北側に三位一体教会がある。
三位一体教会は、エチオピアで1番大きな教会。
第二次世界大戦直前の対イタリア戦勝利を記念して、
ハイレ・セラシエ皇帝が建てたものだ。
今日はキリスト教徒にとって大切な日らしく、
こちらの教会にもたくさんの参拝者がいた。
門を入ったところにあるチケット売り場でチケットを購入(100ETB)。
中に入ると、祭壇の横にハイレ・セラシエ皇帝とその妻マナンの棺が
置かれた部屋がある。
内部を隅から隅まで見学し、教会の外もぐるっと一周した。
アブラハムにこずかいをやって、別れるとミニバスでピアッサに戻った。
宿のテラスで食事をして、夜遅くまで、たまりにたまったブログの更新をした。
深夜、雷がなってひどい雨がふっている音が聞こえた。
翌朝は晴れていた。
シャワーを浴びて、洗濯するとちょうどお昼になったので出かけた。
お昼ご飯をと思い、宿の前の坂を上がった通りにあるレストランに入った。
メニューをくれと言ったら、アムハラ語で書かれたものしかなく、
近くにいた人の助けで注文したのがティブス。
ぶつ切りのヤギの肉を炒めたものだ。この店ではタマネギも入っている。
ヤギ肉というのは臭くて固い。
ポピュラーなエチオピア料理のひとつだから、
とりあえず食べてみたものの美味しくはなかった。
その店から男がついて来た。
今日はまず聖ギオルギス教会に行くところから始めようと思っていたけど、
ついて来る男に「ついて来ないで」と言ったら、
ぼくも聖ギオルギス教会に行くんだと言うので行き先を変えて、
先にシャシャマネ行きのチケットを買いに行くことにした。
ミニバス乗り場からミニバスに乗ると、男はまだついて来た。
かなりうんざりしていたので、バスを降りたところで「1人にさせて」と
懇願したら、ようやくわかってくれてどこかに行ってくれた。
なんだかとても疲れてしまったので、とりあえずカフェで休憩。
マキアートを飲んだ後、マラリアの薬も飲んだ。
近くにいた人にバスターミナルに行きたいと言うと、
もう1本ミニバスに乗り継いで行けと言うのでそうすることにした。
バスターミナルに着き、明日シャシャマネに行きたいと言うと、
チケットはないから、明日また来いと言われた。
仕方ないので、とりあえずマルカート周辺を少し歩いてみた。
ここも本当に首都なのかっていうくらい道は悪く、
大きな荷物を持った人が大勢行き交っている。
ここは、東アフリカ最大の市場。マルカートはイタリア語で市場の意味。
必死に生活している人たちの殺伐とした空気に圧倒され、
どこをどう歩こうかと考えているうちに天気が悪くなってきた。
雨が降らないうちに帰ろうと思い、ミニバスを探し乗り込んだ。
ピアッサに戻ると、銀行に寄って100ブル札を5ブル札20枚に替えてもらった。
この後行く南部の民族の村で、写真を撮らせてもらうのにチップを払うためだ。
銀行から出たところで雨がひどくなり、急いで宿に戻った。
宿に戻ると、たまったブログを書いて、荷物をまとめた。
美味しくなかったランチのリベンジに、晩ごはんはピザを食べた。
マラリアの薬の副作用が気になったがビールも飲んだ。
明日はシャシャマネに移動。
運がよければラスタ村の土曜のナイアビアンギに参加できるかもしれない。
【住所】The Piazza, Addis Ababa, Ethiopia
【料金】400ETB(ツイン、トイレ・シャワー付)、230ETB(シングル、トイレ・シャワー付)
【設備】Wi-fi
【評価】★★★☆☆
バス(Salem社)で14時間半。760km。460ETB。