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【アメリカ大陸縦断027】赤道の不思議を解明するおもしろ実験と旧市街散策(@キト/エクアドル)

見応えありの赤道博物館は必見!

バスは、コロンビアのアンデスの風景とはまた違った山岳地帯を走り抜ける。
しばらくすると、検問があり、パスポートのチェックを受けた。
それから、ずっと夢うつつ。
キトに到着したのは、トゥルカンを出てから6時間後のこと。
北のバスターミナルでも停車したが、
旅行者が多く降りる南のバスターミナル「キトゥンベ」で降りた。

お目当ての宿までは、路線バスのエコビアで1本。
新市街と旧市街の間にある。
宿は久しぶりの個室。移動だらけで疲れた身体をゆっくり癒すつもりだ。
近くのレストランで、晩ごはんを食べて、夜はゆっくりした。

宿の近くのアラメダ公園

宿の近くのアラメダ公園

翌朝起きると、シャワーを浴びて、着ていたもの全部洗った。
実は、トゥルカンから乗ったバスで変な虫にたくさん刺されたので、
気持ち悪くて洗濯したのだ。
宿を出たのは昼になってからだった。
近くのレストランで昼食を済ませると、メトロバスの乗り場を探す。

アラメダ公園を越えた先にメトロバスの駅を発見し、バスに乗り込んだ。
終点のオフェリア駅まで行く。
そこで、ミッター・デル・ムンド(赤道記念碑)と書かれたバスに乗車。
暖かい日差しの差し込んだあまりにも心地の良い車内に、
ついウトウトと居眠りをしてしまった。
隣の席のおばさんに起こされてどこに行くのか聞かれ、赤道記念碑だと言うと
バスの後方を指さして、降りすごしたことを教えられた。
あわてて、バスを降りると、向かいから来るバスに乗り換え、
赤道記念碑の前で降りた。
赤道記念碑は、キトの北22kmにある。

赤道記念碑(Mitad del Mundo)

赤道記念碑(Mitad del Mundo)。中は博物館になっていて、展望台に上ることもできる(別料金)

チケットを買い(入場だけなら3.5ドル)、ゲートを入った。
胸像が所々に配置された道を、記念碑に近づいて歩いて行く。
記念碑は高さ約30m、てっぺんには直径約4.5mの球体が乗っている。
記念碑の周りを歩いてみた。
記念碑からは北と南を分ける線が伸びている。

記念碑は、1936年に地理学者ルイス·トゥフィーノの指示の下、
エクアドル政府により建立されたものだ。
それまでも何度か、赤道の正確な位置を研究した学者がいて、
その位置を修正してきたのだが、
近年GPSにより本当の赤道の位置がわかったらしい。
記念碑より南に少しずれていて、こことはまた別の博物館内ある。
なので、この記念碑はあくまで記念碑。

この記念碑では、赤道をまたいでの記念撮影をするのがお決まりだ。
昼過ぎの太陽の位置は、記念碑の南側を照らしており、
南側にはちょうど日本人たちが記念撮影をしていた。
しかも、なんだかこだわりある構図で撮っているようだったので、
きっと彼らにお願いしたらいい写真を撮ってもらえるはず。
そう思って、声を掛け、写真を撮ってもらった。
そしたら、めちゃくちゃいい写真を撮ってもらえた。

赤道記念碑お決まりの写真

赤道記念碑お決まりの写真

そのまま、彼らと一緒にのんびりと
本当の赤道のある屋外博物館(Museo de Intinan)に向かった。
ゲートを出て、左側に行くと看板が見えて来る。

中に入ると、南米のありとあらゆる有名な像のレプリカが並べられた、
なんとも奇妙な博物館の様子に少し驚いた。
けれど、この博物館がなんとも見応えのある博物館だった。
入場料を支払うと(4ドル)、ガイドさんについて博物館内を歩く。

アマゾン流域に住むシュアール族について

アマゾン流域に住むシュアール族について

ここは、赤道に関する展示だけではなく、
キトやエクアドルの人たちの生活、文化を紹介してくれる施設。
まずは、アマゾン流域に住むシュアール族について紹介してもらう。
シュアール族が行なっていたのは、「ツァンツァ」と呼ばれる干し首。
干し首とは、装飾用に加工された人間の頭部のことだ。
彼らはすでに死んでいる遺体から、首を切り取り、干し首を作っていたそう。
本物の女の子とナマケモノの干し首も展示されているので、驚きだ。

本物の女の子の干し首

本物の女の子の干し首

エクアドルには他にも、未だに外界と接触していない部族がいるらしく、
ウアオラニ族についての展示も見せてもらった。
私はこういう未知なる部族に、ワクワクしてしまうのだ。
できることなら見てみたい、と思うのである。
優先順位としてはかなり下の方の夢で、実現させるかはわからないけれど、
いつかちゃんとガイドを雇って、未知なる部族の村を訪ね、
しばらく生活し、写真を撮影してみたいとか思ったりもしている。

ウアオラニ族の展示

ウアオラニ族の展示

また、1800年代に実際にここに建っていた住居にも入った。
お土産が売られている売店も同じ形で作られているので、
一見価値を見逃しそうになるのだが、その住居は本物で、
住居内には最後に住んでいたおばあさんの写真が飾られている。
また、そこではエクアドルで食べられる高級食材の、
クイというテンジクネズミ科の動物も飼われている。

右が南半球、左が北半球

右が南半球、左が北半球

それから、いよいよ本物の赤道へと向かった。
まずは、「Latitud(緯度)=00°00’00”」の看板で記念撮影。
ガイドさんが、赤道に設置された地球儀を回す。これが自転。
その回転を、赤道の線より北側で見ると反時計回りに見え、
南側で見ると時計回りに見える。
赤道上から見ると、まっすぐだ。
「北半球の台風やハリケーンはは反時計回りに渦ができるし、
南半球では時計回りにできるんです。
赤道上では絶対ハリケーンも台風もないのよ」。
ガイドさんの説明にものすごく納得。

まず1つ目の実験は、排水溝を流れる水の渦巻きのでき方。
北半球で水を流すと、反時計回りに流れていく。
南半球で水を流すと、時計回りに流れていく。
赤道上で水を流すと、渦はできず一直線に流れていく。
地球が東向きに自転していて、その上を移動するモノに働く慣性があり、
赤道上だけはその力がかからないのでこういう結果になるとか。

排水溝を流れる水の渦巻きのでき方実験

排水溝を流れる水の渦巻きのでき方実験

2つ目は、赤道上で卵を釘の上に立てる実験。
赤道上は、地球でもっとも遠心力がかかり、上向きの力が強くなる。
また、重力も赤道上が最も小さく、下向きの力が弱くなる。
赤道上の物体にかかる外的な力は、重力と遠心力のみ。
という環境なので、卵のような不安定な形状のモノでも立ち易い……
ということなのだ。
ガイドさんは簡単に卵を立ててみせた。
しかし、それほど簡単なものでもなく、試してみる人が次々に失敗した。
私もやってみたら……、なんと立ってしまった!
そしたら、「エッグマスター」なる称号をいただき、証明書までもらった。

卵を立てる実験

卵を立てる実験

エッグマスター証明書

エッグマスター証明書

3つ目の実験は、赤道上を目を閉じて歩くというもの。
南と北の両方から力がかかり、まっすぐに歩くのが難しくなるのだ。
人がやっているのを見ると、疑いたくなるけど、
いざやってみると、本当にまっすぐ歩けないのだった。

赤道上をまっすぐ歩けるのか実験

赤道上をまっすぐ歩けるのか実験

4つ目は、赤道上では力が弱まるという実験。
まずは赤道から1m離れたところで。
肩幅に開いた足の右足を前に出し、両手を組み、腕を伸ばし固定する。
腕を上から押されるのを耐える。
それから、赤道上で同じことをすると……。
同じくらいの力で押されているのに、なぜか腕は下に押されてしまう。

エクアドルとは、国名がそのまま「赤道」という意味。
赤道は地球上を一周している。
なのにどうしてキトが赤道のイメージになっているのか。
それは、赤道上の中でも1番高い場所にあるから。
他の赤道が通っている場所は、行きにくい場所が多いというのも理由のひとつ。
ガイドさんは、私の中の赤道の謎を全部解明してくれた。
最後はパスポートに、赤道に来た証明のスタンプを押してもらって終わり。

思った以上に充実した展示物に大満足で、博物館を後にした。
帰りはセントロに行くというバスがやって来たので飛び乗った。
みんなは、新市街に宿を取っているらしく、
GPSで確認しながらバスが宿に近づくと降りて行った。
私は、もう少しバスが宿に近づいてから降りようと乗り続けていると、
いきなり進行方向が変わり、
宿までものすごい距離のところまで行ってしまった。
日が暮れて心配になったけど、
無事バスを探し帰ることができた。

翌日は、昼前にお出かけ。
ブランチからシュラスコ(南アメリカの肉料理)と、ちょっと贅沢をしてみた。

そのまま、旧市街に向かって歩く。
噴水のある広場で、盛り上がっている子どもたちを見かけた。
他の街でも地面から水が出るタイプの噴水では、
子どもたちでにぎわうことが多かったけど、その様子はなんだか異様だった。
よくよく見てみると、泡が出るスプレーや色のついた粉をかけあっている。
そして、よくよく見ると、どうやらその噴水だけではなく、
そこらじゅうでそんな様子が繰り広げられている。

泡のスプレーをかけ合う子どもたち

泡のスプレーをかけ合う子どもたち

街をのんびり歩き、独立広場に到着する直前、
後ろにいた女子学生めがけて卵をぶつける男子生徒がいた。
それが飛び散って、中身の半分くらいが私に命中。
服にべっとりと卵がついてしまった。
広場の脇に水飲み場をみつけたので、洗い流す。

後から調べたら、どうやらカルナバルの影響らしい。
カルナバルとは、水掛け祭りのことで今年は2月14日〜17日の4日間なのだが、
気の早い者は2月の始めから、水を掛け合うそうだ。
水だけでなく、粉や卵、スプレーなどもを使うらしい。
一応、キト市内では通行人に水を掛けることは禁止されているとのこと。
ちなみに、カルナバルはエクアドルだけでなく、
中南米・カリブ諸国共通のお祭りだ。

水飲み場

水飲み場

独立広場で一服。
広場の中心にあるのは1830年8月に独立した記念のモニュメント。
広場は、大統領府、市庁舎、カテドラルに囲まれた旧市街の中心地。
お年寄りの憩いの場のようだ。
ちなみに、キトの町並みと歴史的建造物は、世界遺産に登録されている。

独立記念広場

独立記念広場

カテドラルから、ラ・コンパニーア教会に向かって歩く。
山高帽に三つ編みを下げたインディヘナの女性を多く見かける。
エクアドルは、インディヘナの割合がボリビアに次いで高い国だ。

インディヘナの女性

インディヘナの女性

ラ・コンパニーア教会

ラ・コンパニーア教会

遠くの方にパネシージョの丘を見ながら、旧市街の街並みを散策。
サン・ドミンゴ教会・修道院を通って、
歩行者天国の道を歩いていると、スクレの家博物館の前に出た。
エクアドル独立へ導いたホセ・スクレ将軍の家らしい。
そのまままっすぐ歩くと、ラ・コンパニーア教会の戻った。
その手前のカフェで一休み。

キトにはちゃんと飼われたきれいな犬が多かった

キトにはちゃんと飼われたきれいな犬が多かった

そのまままっすぐ歩いて行くと、サン・フランシスコ・教会・修道院に出る。
こちら、南米一古い歴史を持つ教会だそう。
教会の前は広場になっており、
その脇に日本人バックパッカー常宿で泥棒宿と評判の「スクレ」があった。

サン・フランシスコ・教会・修道院と日本人バックパッカー常宿スクレ

サン・フランシスコ・教会・修道院と日本人バックパッカー常宿スクレ

ラ・メルセー教会・修道院と、バシリカ教会を通る。
宿の屋上から見えたきれいな夜景の中に存在感を示していた教会は、
バシリカ教会だったみたいだ。

そのまま宿に戻ると、ちょうど雨が降り出した。
雨というのは、何もやらなくてもいいと言われているようで、
とてものんびりできる。
のんびりと過ごした夜は、翌日の移動に備えて早く寝ることにした。

ラ・メルセー教会・修道院内部は緻密な木彫刻が施されている

ラ・メルセー教会・修道院内部は緻密な木彫刻が施されている

泊まった宿:Hostal Marsella

【住所】 Los Ríos N12-139, EC060150 Quito, Ecuador
【料金】10ドル(バス・トイレ共同・1人用ダブルルーム)
【設備】Wi-fi、キッチン
【評価】★★★★★

移動:国境→キト

1. 国境→トゥルカン。コレクティーボで15分。8km。0.75ドル。
2. トゥルカン→キト。バス(IMBABURA社)で南BTまで6時間。264km。5ドル。
国境→キト

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