早朝5時、ウユニに到着。
バス内はとても暖かく心地良かったのだけど、
途中、オルーロからの約210kmが未舗装路の悪路で、
何度も目が覚めほとんど寝た気がしなかった。
重い身体を起こしてバスの外に出ても、もちろん真っ暗。
標高3.600mの朝の空気は、とても冷たい。
周りを散策して、どうにか自分たちがいる場所がわかると、
宿が集まる中心地に向かうことにした。
同じバスに乗って来た旅行者はまだその場にいるようだったけど、
日本人の学生が1人でいたので、声を掛けて一緒に行くことにした。
アルセ広場まで行って、お目当ての宿に行ってみるが満室とのこと。
日本人の学生トモくんもまた、お目当ての宿が満室だった。
しばらく広場にいると、街で1番早くオープンするカフェの
客引きのおばさんが来て、行ってみることにした。
そこで、朝食をいただくと、また宿探し。
第二候補の宿に行ってみると、部屋が空いていたのでチェックインした。
トモくんも宿がみつかったようで、何よりだ。
ついでに寄ったツアー会社「Hodaka Mountain Expedition(穂高ツアー)」
には、日本人が殺到していた。
時間に余裕のない私たちは、すぐにツアーに行けそうなそこの会社で、
夜空と朝日のツアーと、
昼のツアーを申し込んだ(それそれ7人集まって130ボリ)。
後は、体力を温存してツアーに備えるだけだった。
軽く買い物がてら出かけて、市場に向かった。
カテドラルのあるコロン通りは日曜日だから、
市場の前にはたくさんの露店が並んでいる。
部屋に戻ると、昨日の睡眠不足を解消するため寝ようとするが、
なかなか寝付けず。
あまり眠れないまま、2時間くらいで目が覚めた。
シャワーを浴びようとしても、停電でお湯が出ず。
それなら先に用事を済ませようと、出かけることにした。
まずは両替。
市場のある通りに、両替所があるのだけど、どうやらまだ昼休み中のよう。
仕方ないので、私たちも昼食にすることにした。
アルセ広場には、なぜかイタリアンの店だらけ。
広場にテーブル席を出している店で、昼食にした。
ここもまた、かなりの観光地価格だ。
ボリビア切っての観光地だ。仕方ない。
両替を済ませると、バス会社の並ぶ通りに行った。
朝、ウユニに到着したときと雰囲気が違う気がする。
何件かの会社を見て回って、やはりサンタクルスに行くには、
ポトシ、スクレの2つの街を経由なしなくてはいけないことがわかった。
そして、3日後のポトシ行きチケットを購入した。
宿に戻る頃には、電気が復旧していたので、シャワーを浴びた。
市場で買ってきたボリビアワインを飲んで、後はぐっすり眠るのみ。
……なのに、眠れない。
眠らなくては、と思えば思うほど、眠れなかった。
結局、3時間くらい眠れたかどうかで、ツアーの時間になった。
夜中の1時半に、宿を出る。
同じくツアーに向かう旅行者がぞろぞろと宿を出た。
なぜか日本人だらけ。
穂高ツアーの前には、40人くらいの日本人が集まった。
どうやら、同じ時間に6台の車がチャーターされているらしい。
私たちの乗るランクルは、予想通り予定時刻をかなり遅れてやって来た。
2時20分出発。
「私、コスプレして朝日の写真を撮ろうと思っているんですよ」。
そう語るのは、仙台の大学に通う女の子。
ツアーは5回目なんだとか。
かなりの気合を感じる。
暗闇の中、走り続けていると、塩湖に入ったのがわかった。
水が貼った塩湖に、月が反射して、とてもきれい。
車が停まったのは、1番広範囲に水が張った場所。
ちょうどそのとき、月が西の湖面に沈んでいくのが見えた。
月が沈むのがこんなにきれいだと思ったのは、初めて。
すると、空は星だけに。
まるで、新月のよう。
星雲まで見える。
それが湖面に張った水に反射され、鏡のように写し出す。
それは、それは、美しい景色。息を飲むほど。
……だけど、話しに聞いていた通りものすごく寒い。
かなり防寒を考えた服装に、厚いブランケットを被ったのだけど、
それでも寒かった。
しばらく景色を堪能すると、車に戻り、少しだけ眠った。
空が白みだすと、次なるスポットを目指す。
朝日が顔を出す東側に、水が張っている場所へと移動。
東側には山があり、あいにくその山の上には、雲がかかっていた。
朝日が雲の裏で、光を放ちだすと、空がピンク色になった。
鏡張りの湖面は、自分を包み込む世界を
すべてピンク色に変えてしまったかのよう。
しばらくすると、コスプレガールがやって来た。
肩が出た白い薄いワンピースに羽根を背負っている。
素足にサンダル。
信じられないくらい寒い朝のウユニ塩湖で、彼女は気合を見せてくれた。
今年、休みが取りやすい会社に就職する彼女は、
年次休暇を利用して、世界をコスプレしながら回るのが夢だそう。
時間が来ると、車に戻った。
車の中から、朝日が雲の上から出て来るところを見た。
タイヤの跡がついているぬかるんだ塩湖に、朝日が反射していた。
7時には、セントロに着いた。
後3時間でまたツアーに出るので、休憩を取るため宿に戻った。
そして、就寝。
この短時間睡眠が、いけなかったのか。
昼寝は結局、1時間ほどしかできず。
ツアーの時間がやってきて、起き上がると身体が重かった。
普段なら、しばらく身体を動かせば通常の体調に戻るはずなのだけど。
宿を出て、トリック写真撮影用のビールを買い、カフェに入った。
重い身体は、更に重力を増していくような感覚だった。
気分まで悪くなってきた。
高山病を引き起こしてしまったのだろうか。
ツアーをキャンセルした方がいいのかもしれない、
と思いながら、旅行会社の前まで行った。
考える間もなく、車がやって来て、名前を呼ばれてしまった。
もしかしたらしばらくしたら体調が治るかもしれない……えいっ、
と車に乗ってしまった。
車の中で、ぐったりと夢うつつになる。
30分後、土産物屋が並ぶコルチャニ村にてトイレ休憩。
体調は更に悪化し、1人ぐったりとしていた。
それから、塩湖を走り、モニュメントが立つところで降りて記念撮影。
その近くにあるプラヤ・ブランカという
今は営業していないホテルの横に世界中の国旗が立っていて、
そこでも撮影。
……だけど、私は身体が動かず参加できなかった。
それから、六角形の模様がどこまでも続くだだっ広い塩の大地で、
トリック写真タイム。
ものすごく楽しみにしていて、いろいろ考えていたのに、
参加したのは2、3枚くらい。
後はずっと車の中にいた。
それから、同乗した他のみんなは車の上に乗って、塩湖をドライブ。
人がいない車の中で横になって眠った。
しばらくすると、上にいたみんなが、寒いと言って車に戻ってきた。
体調不良の私は、助手席に移動。
少しの睡眠で、少しは回復。
せっかくのウユニ塩湖を、力いっぱい開いた半目で楽しんだ。
しばらくすると、一面に水が張った場所に停まった。
風が強く、湖面に波が立っていて、
みんなが見たい鏡張りにはなっていなかった。
しばらくそこで、風が止むのを待った。
隣の車の女の子が美味しいそうにビールを飲んでいるのが見えた。
私はずっと車の中でぐったり。
楽しめていない自分が悔しかった。
結局、風が止むことはなく、鏡張りが見えることはなかった。
私の昼のウユニ塩湖の思い出のほとんどは、
助手席から半目で見た白い景色。
ちょっと残念だったけど、きれいな塩の大地は見ることができたし、
よしとすることにした。
宿に戻ると、すぐにベッドに入った。
その日の夜はゆっくり眠り、翌日も1日休憩すると体調は回復した。
世界の高所の街の8割くらいは行ったことがあるし、
ずっとアンデスにいたのに、高山に慣れきることはないのだ。
予期せぬ体調不良を起こすこともあり得るということを見を持って知った。
高山を侮ってはいけない。
翌々日には、ウユニを出た。
【住所】 Calle Sucre # 257 entre Colon y Cabrera, Uyuni, Bolivia
【料金】120ボリ(トイレ・バス共同・ツイン)
【設備】Wi-fi(PCでの使用不可)、館内とても暖かい
【評価】★★★★☆
バスで10時間。80km。130ボリ。