1,500kmの大移動を終え、
朝、カンクンに着いたときには、もう本当にクタクタだった。
歩いて10分以内の宿も、ものすごく遠く感じるくらいに。
マクドナルドに行ってしばらく休憩して、
力を振り絞って宿に向かった。
カンクンで泊まろうと思っていたのは、日本人宿「カサ吉田」。
地図通りに行くとすぐにみつかった。
対応してもらったのは、この宿のオーナー、ルルさん。
日本人の旦那さんはすでに亡くなられていて、
ルルさんがお手伝いさんとともに宿を切り盛りしている。
ベッドに入ると、すぐに眠った。
夕方、せっかくなのだから、どこかに出かけたい一心で起きると、
セントロを南に歩いた。
ホテルゾーンへ行くバスをみつけたときには、
もう暗くなっていたので、近くにある観光地価格のレストランで
ディナーにして宿に戻った。
翌日は、水着を買いに行くため、
ホテルゾーンに行ってみることにした。
その前に、次の移動のチケットのチェックもしておこうと、
ADOのバスターミナルに行ってみる。
3日後に出発するチェトゥマル行きチケットを買った。
ホテルゾーンへの路線バスは、
ADOのバスターミナルの前からも出ているようだったので、
地元の人たちがバスを待っているらしい場所で、私も待ってみた。
R-1のバスに乗車し、ホテルゾーンに向かう。
地図を見ながら、オススメのビーチを教えてもらってから来たはずだけど、
自分が今どこにいるのかイマイチ把握できず、
どこで降りていいのかがわからなかった。
右手にラグーンが見えると、あわててバスを降りてしまった。
高級ホテルが点在するゾーンの遊歩道を、
水着とビーチを探して歩いた。
すると、にぎやかなビーチの入り口を発見した。
PLAYA TORTUGASだ。
手前にはOXXOがあり、
その奥には土産や雑貨が売られているショップが並ぶ。
水着はここで買えそうだ。
ビーチ沿いにはレストランが並び、
その前のテーブルにはメキシコ人たちがビールを飲んだり、
軽食を食べたりしている。
バンジージャンプの台もある施設は、フェリー乗り場だ。
年末の休暇を利用してやってきた家族連れが、
思いっきり海を楽しんでいるようだった。
OXXOでビールを買い、そんな様子を眺めながら飲んだ。
水着も無事に購入すると、また別のビーチに行ってみたいと思い、
ホテルゾーンの中心に向かって歩くが、
あまりにも遠くて、途中で諦めて帰った。
その夜は、翌日一緒にグラン・セノーテに行く部隊が結成された。
旅の成功を祈って、その夜は少し深酒気味に飲んだ。
早朝4時、酒が抜けきれぬ体を起こし、準備すると、
宿のリビングに行った。
深酒していた他の4人も、みんな時間通りきちんと集合している。
「1人だったら、絶対歩きたくないよね」
なんて言いながら、まだ真っ暗な中、バスターミナルに向かって歩いた。
思った時間のバスがなくて少し待たされたけど、無事にバスに乗車。
効かせすぎのエアコンに凍えそうになりながら、
フリースを着込むと眠気に襲われた。
2等バスなだけに停車も多く、
席数以上の乗客を乗せているようだった。
(MAYAB社のバス片道92ペソ)。
3時間ほどでトゥルムのセントロに到着。
タクシーをチャーターするか、自転車を借りるか、
値段やメリット、デメリットをみんなで議論して、
結局自転車を借りることにした(1日60ペソ)。
慣れないマウンテンバイクで、日本とは逆の車線を走り始める。
千團くんがスマートフォンで地図を確認しながら、
先導してくれる。
セントロを抜けると、何もない1本道の109号線を走った。
セントロから約4.5km。
セノーテを1つ越えて、見えてくる看板。
「GRAND SENOTE」
入り口で、入場用のリストを購入し(150ペソ)、
さっそくセノーテへ向かう。
まず、その澄みきった水、濃い青と緑のグラデーションに衝撃を受ける。
鍾乳洞の複雑な形、その上に生えた木の根っこが絡み、
ものすごく神秘的。
セノーテとは、ユカタン半島の低平な石灰岩地帯にある陥没穴に、
地下水が溜まった天然の井戸、泉のことだ。
だから、海水ではなく淡水。
水着は着てきたので、さっそく服を脱ぐと、
シュノーケリングセット(80ペソ)を借りて、セノーテの中に入った。
鍾乳洞の手前にカメのエリアがあり、
うっかりエリアから出てしまったカメと一緒に泳いだ。
薄暗い水の中に、差し込んだ朝日がキラキラ光り、
その奥に広がる鍾乳洞が。
あまりに夢中で泳ぎすぎて、鍾乳洞の突起に頭をぶつけた。
危ない危ない。
鍾乳洞の上を見上げると、コウモリが飛び交っていた。
「カメラが落ちた〜!」
鍾乳洞の奥を探索していたみんなが声を上げた。
千團くんが、水中にもぐる際、
頭につけていた水中カメラを落としてしまったらしい。
15mくらいある鍾乳洞の泉の底。
どこにあるかは見えてはいるので、
みんな、素潜りで取れないか挑戦してみるが、
耳が痛くて奥底までは潜れなかった。
セノーテを管理しているスタッフに、
助けてほしいと頼んでもそれは責任外だとあしらわれる。
仕方がないので、ダイバーにお願いしようと、
ダイブ隊が鍾乳洞の奥底から戻って来るのを待った。
ダイブ隊がなかなか戻って来ず、もどかしさを覚えていた頃、
1人のライフセーバーがやって来た。
「誰か、カメラを落としたんだって?」
そう言うと、泉に飛び込んだ。
そして、カメラをなんとかしようとしている
千團くんの方に向かって泳ぎだした。
どこにあるのか、千團くんが説明すると底に潜って行った。
そして、無事にカメラを拾いあげてくれた。
喜んでいる私たちにハイタッチをすると、
さっそうと仕事場に戻っていった。
ものすごく、気持ちのいい親切な青年だった。
冷たい水にすっかり身体が冷え込んで、2時間くらいで上がった。
それから、またセントロの方に自転車で戻り、
バスでカンクンから来た道を走って、セノーテから6.5km。
トゥルム遺跡の前の観光地エリアに到着した。
トゥルム遺跡は、カンクンからのアクセスも良い人気の観光地だけに、
観光客が多い。
いろんなショップの集まるエリア、リビエラ・マヤでお昼を済ませると、
トゥルム遺跡に向かって走った。
リビエラ・マヤ内のチケット売り場で先にチケットを買っていたので、
入り口のチケット売り場で行列を並ぶことなく、入場することができた。
トゥルム遺跡は、紀元後1000~1400年頃に栄えたマヤの城塞都市だ。
スペインに城塞としても利用されていた。
北にある城壁の入り口マヤ・アーチを抜けると、
メキシコらしい植物とともに広がる遺跡。
入り口から伸びる道を大宮殿に向かって歩く。
比較的新しい遺跡ではあるのだけど、状態はあまり良くない気がした。
遺跡は、イグアナたちの住処になっているらしく、
あちこちにその立派な姿を見せてくれる。
そのまま、中央神殿のエルカスティージョまで歩くと、
海の見える城壁の端まで行った。
美しいカリブ海……だけど、藻がたくさんあって少し残念な景色。
そのまま風神の神殿を越えて、一度入り口に戻った。
それから、南の出口に向かって歩いた。
そこから、海岸に向かって走った。
トゥルム国立公園のビーチに向かった。
遺跡とは少ししか離れていないのに、
こちらの藻はビーチに固まっているので、それほど気にならなかった。
自転車を停めて、さっそく海に入った。
見渡す限りが、エメラルドグリーンの海。
波が少し高く、波が来る度にジャンプし、プカプカと浮かんだ。
空の青。
夕日の色が混じり、少しグリーンがかったグラデーション。
カリブ海のブルー。
手前から奥に向かってエメラルドグリーンが
どんどん濃くなっていくグラデーション。
青だけの世界。
しばらくすると寒くなって、海をあがった。
暗くなる前に、バスターミナルに戻ろうと少しがんばって走った。
そして、効きのエアコンに凍えそうになりながら、
カンクンに戻ると、また、無事に旅を終えた祝杯をあげた。
翌日、みんなでプラヤ・デル・カルメンにでも、
泳ぎに行こうかなんて話していたけど、
どうやら藻が多いらしいという情報を仕入れて、やめることになった。
それならホテルゾーンのビーチの方がいいね、ということになり、
昼を過ぎてからみんなで向かうことになった。
いろいろ雑用を済ませてから、みんなより少し遅れて出発した。
R-1のバスに乗ると、今度はじっくり景色をうかがった。
ホテルゾーンの中心は、大きな商業ビルがあるのでわかりやすかった。
その近くで降りると、ホテルとホテルの間にある小径から、
ビーチに入った。
高級ホテルの前にあって、雰囲気は違うが
ここもトゥルムのビーチ同様とてもきれい。
泳いでいるのは、外国人旅行者が多い。
先に来ているはずのみんなを探して歩いてみるが、みつからなかった。
せっかく水着を着て来たが泳げない。
ビーチを眺めながら一服。
カリブ海を見ることができただけでも、来た甲斐があるなと思えた。
その夜は、みんなでシンスケ君のサプライズお誕生日会をした。
ちょっと肝臓が痛くなるくらい、楽しい日々の終わりだ。
【住所】Calle Mero No.4 SM3 M2 L27 Cancun
【料金】12ドル(4人女ドミトリー)
【設備】Wi-fi、キッチン、朝食
【評価】★★★★☆
バス(ADO)で2時間。850km。546ペソ。
(早割が適用されたよう。ADO社のHPで予約もできるがスペイン語のみ。OXXOで支払うことも可)