街頭が少なく、周りの電光看板の明かりで、
どうにかほんのりと辺りが見渡せる。
まさかエチオピア人が時間にきっちりしているとは思わず、
迎えのトゥクトゥクでかなり早くバスターミナルに着いてしまった。
仕方ないので、シャイ屋のおばさんのところでシャイを飲む。
かなり冷え込んでいたので、フリースを着た。
バスターミナルの門はなかなか開かない。
今日はシュレイへの移動。
夜行走行禁止のため、目的地のメケレに直接行くことはできず、
シュレイを中継地に1泊するつもりだ。
門が開くと、門の前で待っていた人が一斉にバスに詰めかけた。
シュレイ行きのバスに行ってみると、
出入り口に人が溢れ出るほどぎゅうぎゅうに人が入っていた。
少し出遅れたかと思ったけど、チケットの席の番号に座ることができた。
バスは路線バスレベル。
エチオピアのバスのレベルで2等らしい。
このバスで長距離移動はなかなかきつい。
乗客を満員にするまで出発しないようだった。
エチオピア・タイムの12時半、
インターナショナル・タイムの6時半にバスは出発した。
元々、出発の時間なんて決まってなさそうだけど、
チケットに書いてある時間より1時間遅れ。
シートは、背もたれが首までないので寝にくい。
それでも何とか寝た。
2時間半後、小さな町で休憩タイムに入った。
英語の話せるおじさんに、レストランに連れて行ってもらい、
マキアートを飲んだ。
おじさんは、今日は水曜日だから肉を食べないんだと言って、
ダボファラフェルというちぎったパンをソースで混ぜたものを食べていた。
キリスト教徒は、水曜日と金曜日は肉とミルクは口にしないそう。
ちょっと一服がてら、おじさんより先にバスターミナルに戻った。
人々が、珍しそうに群がってきた。
ガム売りの子どもにガムを勧められたり、
二羽の鶏の足を持ったおじさんに生きた鶏を勧められたりした。
しばらくすると、バスの運転手が私を探してやって来た。
危うく置いて行かれるところだ。
バスが再び出発すると、霧の山道を進んだ。
よく揺れ、眠れそうになかった。
しばらくすると、景色が開けた。
どうやら高い山の上にいるらしい。
麓の畑や遠くの山々が見える。
決して広くない山肌の道を走る。
まかり間違ったら谷めがけて真っ逆さま。
隣の席の女性が胸に十字架を描いた。
この辺りにエチオピア最高峰のラスダッシェン山(4,620m)があるはず。
ダッシェンは、エチオピアで最もポピュラーなビールの名前でもある。
バスはくねくねの山道を走る。
景色は良いんだけど、何せ通路側の席にいたため、景色を楽しむこともできず。
カーブが連続すると、バス中の乗客がゲロを吐き出した。
乗客も慣れていて、気分が悪くなるとバスのスタッフにエチケット袋をもらい、
ゲロを収めた袋は窓からポイ。
さっきまでみんな、めちゃくちゃ楽し気に話していたのに、
ひどい音を立ててゲロゲロ吐いた。
あっちもこっちも。
もらいゲロしそうだった。
高度が下がると、暖かくなってきて上着を脱いだ。
どうにか眠りに就き、目が覚めると、平地にいた。
牛の群れやヤギの群れ、ラクダもいた。
小さい家もあった。
15時半、シュレイの町に到着。
一緒に乗っていた女の子2人組に助けてもらって、
明日のメケレ行きのチケットを買った。
その女の子たちは、お目当ての宿まで一緒に来てくれた。
とにかく人が群がってくるので、2人が一緒にいてくれるのはありがたかった。
最後は覚えたてのエチオピア式挨拶でお別れした。
部屋に荷物を置くと、併設のレストランに行ってみた。
お腹が空いたので、遅めのランチにした。
注文したのは、ボロネーゼ。
東アフリカで唯一植民地支配をほとんど受けてないエチオピアだけど、
一時イタリアが占領していた時期があった。
そのため、エチオピア国内ではイタリア料理を食べられるお店が多い。
ただ、「イタリア人の失敗はエチオピア人に料理の作り方を教えなかったこと」
と言われる程度の味。
イタリア料理とはほど遠いものだけど、
それでも現地料理を食べたくないときにはちょうどいい。
食べ終わると町を歩いてみることにした。
ホテルの前の大通りはなんだか寂しい感じだったので、
バスターミナルの方へ行ってみた。
バスターミナルの周りに店が集まっているようだった。
ちょっと歩くだけで、まるで有名人がそこにいるかのように
見られるし、声を掛けられる。
決まって中国人に間違われ、それはいい意味ではない方だった。
話し掛けて来る人には、日本人だと教えた。
無邪気な子どもたちは、握手を求めて騒いだ。
あまりに見られるので心地悪くなってきて、
小さなお店に入ってコーヒーを飲んだ。
部屋に戻ったのは、18時前。
シャワーは、お湯が出ないので諦めることにした。
明日のバスは11時出発……Wi-Fiもないし時間を持て余しそうだと思っていた。
部屋の窓からバスターミナルを眺めていて気付く。
そうだ、エチオピア・タイムだ。
明日の朝もやっぱり早かった。
雑用を済ませると早めに寝た。
【住所】Kebele 06, Bahir Dar, Ethiopia
【料金】130ETB(シングル、トイレ・シャワー共同)
【設備】なし
【評価】★★★☆☆
バス(2等)で12時間。290km。135ETB(+荷物代20ETB)。