朝7時半、朝食後、クスコの宿まで旅行会社のスタッフが迎えに来た。
宿から歩いて10分ほどの場所にマチュピチュ行きの
コレクティーボが何台か停まっていた。
そのうちの一台に乗り込む。
クスコを出発したのは、8時すぎ。
窓の外は、見飽きることのないきれいな景色が続く。
雨期の合間の晴天。
青空と深い緑の山々、田畑は多様な緑で彩られている。
クスコまでの道のりと同じく、山々はいろんな形のものがあり、
雪を被ったものなど、自然の広大さを感じる。
同乗した旅行者もひっきりなしに、
カメラを取り出し美しい風景を撮影していた。
1時間くらいが経った頃、最初の街に出くわした。
ウルバンバの街だ。
またしばらく走ったところで、休憩。
高原の中の小さなレストラン。
他にもコレクティーボが何台か停まっていて、
それらの車にはマウンテンバイクが積まれていた。
そのツアーは、4,350m地点のアブラ・マラガから
マウンテンバイクで山を下るというものらしい。
なかなか面白そうだ。
また出発して、しばらくすると、今度はオリャンタイタンボの街に着く。
インカ帝国の中枢をなした遺跡が点在する聖なる谷の中心だ。
オリャンタイタンボを過ぎると、景色は変わった。
標高が上がり、気温も下がる。
背の低い草の生えた高山地帯の中を走ると、雪を被った山も近くに見えた。
所々、岩肌から湧き出た水が川のようになって、道路をまたいでいる。
アブラ・マラガから自転車に乗り換える人々の姿が見えた。
しばらくすると、亜熱帯のジャングルのような景色に変わった。
インカ・ジャングルだ。
気温も上がって、蒸す。
ものすごい山深いのに、電線が通っていて、所々に家も見かける。
こんなところにも、生活はあるんだと感動。
そんな中、街に入った。
クスコを出発してから5時間で、サンタ・マリアに着く。
そこからは、未舗装の道路に入った。
一歩間違ったら、真っ逆さまに落ちそうな崖の細い道を通る。
そんな道を1時間ほど走って、サンタ・テレサの街に到着。
そこで、最後の休憩。
こんなところにある街のコーラ、きっと高いんだろうなと思ったけど、
そうでもなかった。
そこから30分ほどで、ゴールの水力発電所(イドロ・エレクトリカ)に着いた。
16時前のこと。
入り口で、名前を記帳し、解散。
少し歩いたところに、ペルーレイルの駅がある。
そこから、看板に従って歩き出す。
ペルーレイルの線路沿いを、マチュピチュ(老いた峰)と
ワイナピチュ(若い峰)をぐるっと回るようにして、
マチュピチュ村へとたどり着く。
線路は、激しい濁流のウルバンバ川沿いだ。
線路沿いを歩くことから、日本人バックパッカーの間では、
スタンド・バイ・ミーのようだと評判のコースだ。
大自然の谷間に、レストランも点在する。
休みなしに歩いて、3時間。
夜の闇がすぐ側に迫った頃、街頭が見えだす。
マチュピチュ村寸前にあるトンネルは、
もうその時間に通ることはできず、迂回。
道が別れていて、迷いそうになったが、
前や後ろにいた旅行者と合流し、みんなで話し合いながら、
どうにかマチュピチュ村に到着した。
マチュピチュ村は、アグア・カリエンテス駅を中心に広がる。
線路沿いにレストランやホテルが立ち並んでいた。
標高2,000m、過ごしやすい気候だ。
お目当ての宿はあったけど、アルマス広場にたどり着いたときに
声をかけられた客引きのおばさんについて行ってみることにした。
疲れ果てていたので、迷うことなくその宿に決めた。
ウルバンバ川の激流がすぐそばに見える宿。
激しく水が流れる音がなぜか心地よかった。
アルマス広場のレストランでディナー。
窯で焼かれたピザと、ビールで乾杯する。
マチュピチュ村のレストランは、どこもかなりの観光地価格だ。
宿に戻ると、あっという間に眠りに就いた。
翌朝はゆっくりと始める。
シャワーを浴びて、ウルバンバ川沿いのレストランで朝食をとった後、
アルマス広場に向かった。
バスのチケットを購入する(往復74ソル)。
バスはかなり頻発しているようだ。
バスに乗り、マチュピチュ村を出ると、
くねくねとした道をマチュピチュの山頂目指して上る。
麓からは、標高差約400m。
頂上には、1軒超高級ホテルが建っている。
その奥に遺跡の入り口がある。
入り口では、チケットとパスポートを提示して、入場。
石の敷き詰められた道を歩き、森の中へと入って行くと、
草葺き屋根をの再現した建物に出くわす。
貯蔵庫だった場所だ。
その奥に行くと、あの景色が見えてくる。
マチュピチュとワイナピチュの間の尾根に広がる遺跡の全貌。
両サイドの段々畑。
ここまでやって来た道のりを思い、
どうしてこんなアンデスの奥深い山の中で、
インカの人々は裾野からは見えない空中都市を築いたのかと思いを巡らせる。
1911年、ハイラム・ビンガムによって発見されたときは、
草で覆われた廃墟だったそう。
(ちなみに、ハイラム・ビンガムは、
映画「インディージョーンズ」のモデルにもなっている人物)。
ビンガムは、マチュピチュ発見した当時「インカ発祥の地」説を
提示していたけど、後に自らその説を訂正し、
「インカ帝国最後の都市」説を提示した。
その後、その説も覆され、研究者たちが謎解きを始める。
要塞説や祭祀場説などが唱えられたが、真相は明確にはわかっていない。
インカ文明は、最後まで文字を持たなかったこともあって、
未だに解明されていない多くの謎がある遺跡だ。
貯蔵庫の更に上には見張り台があり、
山の麓を見下ろすとウルバンバ川が見える。
その後ろには、インカ道が。
インカ道はインカ帝国が存在したペルー中何千キロにも及ぶ道で、
その途中クスコからマチュピチュまでの道を、
トレッキングするツアーが人気らしい。
途中出会った旅人にも薦められた。
そのまま、ワイナピチュに向かって歩く。
ワイナピチュと遺跡の全体像が写った写真は何度も見たことがあるけど、
遺跡の中に入ったらどんな景色が見えるのか。
市街地の方に向かって歩いた。
ちょうど市街地に入った頃、リャマがやって来た。
後ろ足でお腹をかいたり、だらけたように見える顔がなんだか間抜けで、
しばらく笑わせてもらった。
隣国チリがCM撮影用に連れて来たリャマが、そのまま置いていかれ、
棲みつき、繁殖し増えたそう。
再現された貯蔵庫や見張り台のように、草葺き屋根がある街並みを想像する。
そこで生活する人々。
坂が多くて、年配の人には大変だったろうなと思ったり。
市街地から谷底を見下ろすと、ワイナピチュに向かって左側に、
コレクティーボを降りた水力発電所が見えた。
そこからぐるっと回って、ワイナピチュの右側にマチュピチュ村がある。
上から見てもかなり長い道のりに見える。
3時間もかかるのは納得だ。
遺跡内をぐるっと回って、最後は太陽の神殿を見た。
マチュピチュは夏至や冬至の区別がつけられるほど
太陽の観察をするのに最適であったことや、インカ帝国は太陽を拝み、
皇帝は太陽神として崇められていたことから、
現在では、皇帝・パチャクティが太陽を観測し拝むために建てた
という説が有力視されているそうだ。
マチュピチュには、計4時間いた。
最後はマチュピチュ全貌を目に焼き付ける。
本当に満足。ここに来れてよかったと心の底から思えた。
写真で見るのと実際に自分の足で見に行くのとが違うということが、
心底実感できた。
帰りも同じバスで麓の村に戻った。
その夜、もう1泊すると、翌日には来たときと同じルートでクスコに戻った。
帰りの道は、麓からマチュピチュの遺跡が
どのように見えるかじっくり観察。
見張り台や段々畑が見えた。
【入場料】マチュピチュのみ128ソル(1日2.500人の入場制限)。
ワイナピチュ入山料込み152ソル(1日400人の入場制限)。
入り口でチケットは買えない。クスコとマチュピチュ村にある観光案内所と同じ建物の文化庁の窓口にて購入可能らしい。入場制限数は流動的。
私はクスコの旅行会社で買って、手数料込み150ソル。
【バス代】往復74ソル(24ドル)。片道のみの購入可。歩いて上ることもできる。
【住所】Ave. Imperio de los Incas Nro.618. Machupicchu Urubamba Cusco
【料金】45ソル(トイレ・バス付き・ツイン)
【設備】なし
【評価】★★★☆☆
1. コレクティーボで6時間。往復75ソル。
2. 線路沿いを歩いて3時間。
(体力に自信がなければ、チケットは高いが、列車がオススメ。
ペルーレイルHP→https://www.perurail.com/index.php)
http://hobowise.com/Blog/travel/lima_to_cusco_peru/を参照