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【アフリカ大陸縦断044】世界一美しい裸族「ヒンバ族」の村を訪問(@オモーイパンガ/ナミビア)

とても温和なヒンバ族

朝9時、スーパー「OK GROCER」の前でガイドのエリザベスと待ち合わせ。
今日は、ヒンバ族の村に訪問する日だ。
スーパーで待ち合わせたのには、訳がある。
ヒンバ族の村に持って行く土産として食料品を買うためだ。
これが入村料の代わりになる。

食料品を買い込んでエリザベスに着いて行く

食料品を買い込んでエリザベスに着いて行く

ドライバーと一緒に、車に乗り込むと出発。
車はオンボロだったせいで、砂埃が車内に舞った。
町を外れると建物が減り、しばらくすると
土壁と藁のとんがり屋根でできた民家が見えてくる。
20分ほど走ったところにある集落に到着した。

オプウォ郊外

オプウォ郊外

オモーイパンガという集落には、20〜30人のヒンバ族が住む。
エリザベスもここの出身だ。
ちなみに、エリザベスもヒンバ族だが学校に通って教育を受けたため、
ヒンバ族の文化とは離れてしまったらしい。

オモーイパンガに到着。前を歩くエリザベスとドライバー

オモーイパンガに到着。前を歩くエリザベスとドライバー

オモーイパンガのヒンバ族の女性たち

オモーイパンガのヒンバ族の女性たち

オモーイパンガは穏やかな雰囲気だった。
同じく少数民族のいるエチオピア南部の外国人に対して
向けられる殺伐とした目も、ここでは感じられない。
オプウォの町にいるヒンバ族もそうだったが、ヒンバ族は本当に平和な民族だ。

ヒンバ族の女性。子どもが服を着ているのは男の子だからか

ヒンバ族の女性。子どもが服を着ているのは男の子だからか

家の前にいる女性たちに、まずは土産を渡す。
年配の女性がそれを受け取った。
それから、そこにいるヒンバ族の女性たちに近づいた。

左のヒンバ族の女性が1番年配そうだった。裸族の赤ちゃんは飲みたいときにおっぱいにありつける様子

左のヒンバ族の女性が1番年配そうだった。裸族の赤ちゃんは飲みたいときにおっぱいにありつける様子

子どものうちはまだ赤土を付けない。女の子は13歳頃からヒンバ族の格好をするそうだ

子どものうちはまだ赤土を付けない。女の子は13歳頃からヒンバ族の格好をするそうだ

一夫多妻制が当たり前のアフリカだが、
オモーイパンガのヒンバ族は、だいたい1人の男に2人の妻がいるそう。
エリザベスに「あなたの旦那さんにもあなた以外に妻がいるの?」
と聞くと「私は2番目よ」とあっけらかんと答えた。
男たちは昼間、牛の世話をするため外に出ているので、
集落には女性と子どもしかいない。

ヒンバ族の女性の特徴といえば、赤土を塗込んだ髪や肌。
「オクラ」と呼ばれる赤土とバターを混ぜたものを塗っている。

赤土が塗られた肌

赤土が塗られた肌

ヒンバ族は生まれてから1度もシャワーを浴びることはない。
1日に2回、赤土を塗ることがシャワーを浴びる代わりになるのだ。
家の前にいた女性が、バターを入れた容器と赤土を見せてくれた。
それを腕に塗ってもらうと、肌の粗は消え赤褐色のきめ細かな肌になった。
なるほど、彼女たちの美しい肌はこのようにしてできているのだ。
「世界一美しい民族」と称される所以がわかる。
ユリちゃんは、顔の隅々まで塗られていた。
アフリカの服を着てきたユリちゃんの顔が赤土に塗られると、
本物のアフリカ人のようだった。
オクラは日焼けや虫よけの効果、
さらに寒さや乾燥から肌を守る役割も果たしているそうだ。

オクラを塗ってもらっているユリちゃん

オクラを塗ってもらっているユリちゃん

オクラとバターが入ったケース

オクラとバターが入ったケース

赤土の塗られた髪の毛の先に付いているふさふさは、羊の毛でできている。
家の外で女性たちが集まって、羊の毛の部分を櫛で梳かしていた。

髪の毛の先に付けた羊の毛を梳かすヒンバ族の女性

髪の毛の先に付けた羊の毛を梳かすヒンバ族の女性

頭の上に付けている鶏冠みたいな飾りは、生理がきた女性がつけるもの。
羊の皮で作った前掛け風のスカートにも、大人と若い女性に違いがある。
足に付けている飾りにはラインが入っていて、それで子どもがいるのか、
それが2人以上なのかがわかるようになっている。
その他の飾りもまた意味があり、既婚か未婚か、
両親の死別の有無などが分かるようになっている。
彼女たちが身に付けているそれらの飾りは全て、とても重い。
ヒンバ族の女性は力持ちである。

頭の上に付ける飾りを作成

頭の上に付ける飾りを作成

ウェディング用の飾りを付けさせてもらっているユリちゃん

ウェディング用の飾りを付けさせてもらっているユリちゃん。ウェディングの飾りはさらに重かった

シャワーを浴びないヒンバ族だが、体臭は気にならない。
赤土を混ぜるためのバターをヤギのミルクから作る家は、
ヤギ独特の野生臭さは少し感じるかもしれないが、
ほとんどのヒンバ族の女性は臭くない。
どうやって体臭を防ぐかというと、お香を焚いて身体に、
その煙を付けることによって防ぐのだ。
家に入って、それを実演してくれた。
女性が香に火を点けると、家の中に香の煙が充満した。
女性は地べたに座り、香の置かれた皿を持つと、
煙が身体のあちこちに当たるように移動させた。
脇の下とか、スカートの中とか、臭いが出やすいところに香の煙を当てている。
チベットの人々もそうだが、
世界には一生シャワーを浴びない民族が稀に存在する。

家の中に招いてくれた彼女は妊婦さん

家の中に招いてくれた彼女は妊婦さん

お香を焚いて、身体に香りをつけている

お香を焚いて、身体に香りをつけている

また、11歳になると下前歯を抜く風習があるそうだ。
口を開いて抜けた歯を見せてくれた。
エリザベスもまた前歯がなかった。
これは奴隷貿易時代の名残らしい。
奴隷商人は奴隷を連れて行くときに目・歯・爪を見て健康状態を調べたそう。
どれかひとつでも悪いと奴隷として連れて行かれないので、
歯を抜くようになり、それが今日も文化として根付いてしまったのだ。
どこの民族たちも奴隷に狩り出されないよう工夫をしていたのかと思うと、
なんだか涙ぐましい。

とうもろこしを砕いてお湯で練って作るルヘレ作成中

とうもろこしを砕いてお湯で練って作るルヘレ作成中

こんなに発展しているナミビアでも、未だ変わらずヒンバ族たちが
その伝統を守っているのは、それが女性の文化だからかもしれないと思った。
どこの国でも女性は男性に比べて、
自分から運命を変えようとする人は少ない気がする。
それが貧困からの脱出を伴うものであるなら尚更のこと。

教育を受け経済活動をすることが、幸せに繋がる1つの形体であるなら、
生まれたその運命を受け入れ伝統を守り、家族や先祖を大切に
思いながら素朴な暮らしをすることもまた幸せの1つの形だと思う。
どちらの選択肢を選ぶこともできる上で、自然に後者を選び、
幸せを感じているのであれば、それは本当に素晴らしいことだ。

牛の糞を使って作られる家々。手前は貯蔵庫

牛の糞を使って作られる家々。手前は貯蔵庫

最後は、各家がシートの上に土産物を広げて、
その販売をすることで締めくくり。
私はおばさんが付けていたリングを買わせてもらった。
真鍮のなかなかかわいいリングを買うことができた。
ヒンバ族の生活は主に家畜を収入源としているのだが、
最近では観光も大きな収入源となっているようだ。
なので、ここで何かを買ってあげるのは、
彼らの生活を支えることにも繋がる。

お土産を売るヒンバ族

お土産を売るヒンバ族

ヒンバ族人形

ヒンバ族人形。正直言うともうちょっとがんばってもらいたい

もちろん記念撮影も忘れない

もちろん記念撮影も忘れない

そして、オモーイパンガを後にすると来た道と同じ道を戻った。
スーパーで買い物をして帰って昼食にした。
それからシャワーを浴びた。
身体から赤い水が滴り落ちた。
着ていた服もかなり汚れていた。

夕方は、近所のバーに出かけた。
昨日いたセクハラ移民の男はいなくて、
さっぱりした客しかいなかったので心地よかった。
欧米では黒人に怖いイメージがあったが、
ここでは逆に地元の黒人の方が安心できる。
黒人に対して抱いていた恐怖感は、
実は移民に対して抱いていた恐怖感だったのだと確信した。

オプウォのバーにて

オプウォのバーにて

出入り口の外にはヒンバ族の女性が座り込んでいた。
そんな光景をじっくり味わいビールを飲んだ。

彼女たちにずっと変わらずそのままでいて欲しいと思うのは、
旅行者目線のエゴなのだろうか。
オプウォにやって来るヒンバ族は
酒に溺れることが多い……なんて話を後から聞いた。
一旅行者にはわからないこともたくさんあるけど、
それでも、いつかあの美しい民族たちの姿が見られなくことがあるとするなら、
それは本当にもったいないことだと思う。

ヒンバ族の村へのツアー・アレンジ

車代400N$、ガイド代300N$、お土産の食料150N$。
エリザベスの携帯電話:0812138326

エリザベス

エリザベスはオプヲの町の中心にあるスーパー「OK GROCER」の前で土産物を売っていることもある

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