宿の横のクラブの前では、
朝帰りの客をターゲットにボダボダが集まっていた。
3時半、ニャブゴゴバスターミナルの
タクワ・クラシック・コーチ社のオフィスに到着。
少し待つと係の人が来て、バスに案内してくれた。
乗客3人でバスは4時前に出発。
町を出てしばらくすると検問があり、そこでバスを乗り換えた。
それからしばらくすっかり熟睡していると、男に起こされた。
タンザニアに行けと。
6時半、国境のルスモに到着したらしかった。
何もない国境。
そのままルワンダ側のイミグレーションに行き、出国スタンプをもらう。
イミグレーションを出たところにボダボダがいて、
お金も余っていたし、乗ることにした(500Tsr)。
坂道を500mほど行くと、タンザニア側のイミグレーション。
ビザを取得し(50ドル)、入国スタンプをもらった。
近くにいた職員にバスのチケットを見せると、
出口を出たところにカハマ行きのバスが来るから待っておけとのこと。
イミグレーションを出ると、そこにいた男に「タクワ?」と聞かれ、
チケットを見せるとボールペンでチェックを入れられた。
どうやらマツンダ社のバスに便乗するらしい。
当初ルワンダには、4泊しようと思っていたので、
かなりルワンダ・フランが余ってしまっていた。
近くにいた両替商の男に両替を頼んだ。
18,000Rwsが37,000Tsrになった。
レートはよくなかったが、替えないわけにもいかなかった。
タンザニア・シリングを手に入れたので、
バスが来るまで朝食にすることにした。
近くにあった食堂でチャイとチャパティを食べた(1,000Tsr)。
iPhoneの時刻をタンザニアに合わせる。
1時間の時差がある。
バスはなかなか来なかった。
こんなことなら、もっと出発を遅らせてほしいと思った。
どこからか布を纏った手足の長い民族の男が、物を売りに来る。
彼らの耳もマサイ族と同じような大きな穴が開いていた。
11時半、ようやくバスがやって来たので、乗り込んだ。
緑の多かった景色はすぐに変わって、サバンナになった。
また、ケニア東部からエチオピアと同じような景色。
道路は舗装されてはいるものの、穴ぼこだらけで、ものすごく揺れる。
時々、バスの底からものすごい音がした。
タイヤの消耗も早そうだ。
穴ぼこを避けようと運転するものだから、
本当に横転するかと思うような角度で道の端を走ったりする。
ダナキル以外のアフリカの道で最も悪い道だった。
それが3時間半くらい続くと、少しはマシになった。
疲れて熟睡した。
途中、小さい町をいくつか経由し、
カハマのバスターミナルに到着したのは、17時半頃のこと。
カハマ周辺は、ものすごくゴミが多かった。
黒いビニル袋が目につく。
空のペットボトルもたくさん転がっていた。
タクワのオフィスに行くと、乗り継ぎのムワンザのバスまで案内された。
ムワンザ行きのバスは、18時前には出発した。
オンボロのバスは縦揺れが激しく、ウトウトとしていると時々頭を打った。
夜の隙間風は寒く、フリースを羽織る。
9時頃ムワンザに到着。
バスを降りると一服、タクシーの運転手たちに囲まれた。
一体自分がどこにいるか検討がついていなかった。
タクシーの運転手は、10,000Tsrでお目当ての宿に行くよと言った。
ケニア、ウガンダ、ルワンダとは違い、タンザニアの客引きたちは、
なんとなく胡散臭さを感じる。
試しに高い、と言ってみると、街までは遠いからと言われた。
ここは街の中心ではないらしい。
GPSを使いこなしていない私は、勘を頼りにするしかなかった。
とりあえず、大通りに出てみた。
ターミナル周辺で声を掛けてくるバジャジ(バイクタクシー)も、
5,000Tsrよりは下がらなかった。
街の中心まで遠いのだろう。
大通りに出ると、街の中心に向かうという
ダラダラ(ミニバス)を発見したので、乗り込んだ(400Tsr)。
3人掛けのシートに4人座って、
さらに余ったスペースに身体を歪めながら人が入った。
ぎゅうぎゅう詰めのダラダラで20分くらい走ると、
ダラダラの係にタウンに着いたと言われ、降りた。
どこかのターミナルの前だった。
本当にここは、タンザニア第2の都市なのかと疑いたくなるほど、
街灯も少なく暗かった。
そこからはバジャジを使うことにした。
お目当ての宿の場所を知っている運転手に連れて行ってもらった(1,500Tsr)。
全然デラックスじゃない、「デラックス・ホテル」。
停電中らしく、レセプションにはキャンドルが置かれていた。
部屋を案内してもらった。
とりあえず、寝るには悪くない。
でも、2泊しなきゃいけないのは、ちょっと憂鬱。
チェックインを済ますと、宿の前に出ている屋台で晩ごはんにした。
ホテルのバーでビールも買って飲んだ。
バーの周辺はセクシーなお姉さんや、酔っ払った男が群がっていた。
しばらくすると、電気は復旧した。
ものすごくクタクタで、部屋に戻るとすぐに眠りに就いた。
部屋がどれくらい新しいかよりも、
ベッドに虫がいないかの方が安眠のためには重要なことだと悟った。
ベッドの虫も蚊もいなくて、熟睡できたおかげでスッキリとしていた。
夏の終わりの空気感に似た爽快な朝だった。
部屋の窓からはヴィクトリア湖が見える。
私が、この街に来た理由は、ヴィクトリア湖を見たかったからだ。
ケニア、ウガンダ、タンザニアと、このヴィクトリア湖に面している国は3カ国。
ケニアからぐるっと、ヴィクトリア湖の周りを回って来たことになる。
どこかの町で、ヴィクトリア湖に立ち寄ろうと思って、ここになった。
ヴィクトリア湖は、白ナイルの源流だ。
この白ナイルはスーダンのハルツームで青ナイルと合流し、
エジプトのアスワンで地中海へと流れ出る。
はるばるここまでやって来たという気分に浸った。
宿のレセプションで、明日のモシ行きバスについて尋ねると、
チケットを手配してくれた。
両替しに出かけて、戻ってきた頃、ちょうど旅行会社の男がやって来て、
無事にチケットを買うことができた。
宿のレセプションは、明日のタクシーも手配してくれるそうだ。
昨日到着した街外れのバスターミナルまで行かなくてはいけないかもしれない、
と思っていたので助かった。
再びホテルを出ると、ヴィクトリア湖に向かって歩いた。
壁に可愛らしい絵が描かれたレストランに入って、朝食を済ませる。
この国もまたケニアと同様スワヒリ語を話すのだが(公用語は一応英語)、
ケニアでは「元気?」が「ジャンボ?」だったのに対して、
この国では「マンボ?」と聞かれる。
それに大しては、「ポワ」と答えるらしい
なんとなくかわいい響きだ。
タンザニアは国土が広いこともあって、なんと130もの民族がいる。
1番多いのは、この一帯、ヴィクトリア湖南側から
セレンゲティに住むスクマ族だ。
ヴィクトリア湖の周辺は、バスの発着場と、フェリー乗り場があり、
その客を目当てにした商店がたくさん並び、人でごった返していた。
周辺をウロウロすると、現在は運休中の貨物車用の線路があるようだった。
そこを歩いて、ふと島までのフェリーに乗ってみようと思いついた。
フェリー乗り場は2つあったが、ビスマルク・ロックと呼ばれる
岩に近い方のフェリーに乗ることにした(1,000Tsr)。
フェリーは、カマンガという場所に向うらしい。
さっそく乗船し、しばらくすると出発した。
ビスマルク・ロックは、微妙なバランスを保ちながら立つ不思議な岩だ。
ムアンザの丘に広がる家々、
ビスマルク・ロックが遠ざかっていくのを見守った。
フェリーの中にたくさんいる物売りから、フルーツを買って食べ、
湖の涼しい風を浴びながらのんびりと景色を楽しんだ。
湖に浮かぶ小さな島を通りすぎてフェリーはどんどんと進んで行った。
ヴィクトリア湖は淡水湖として、世界第2の規模を誇る。
1番はカスピ海。
カスピ海も広かったが、ヴィクトリア湖もものすごく広い。
水平線の向こうは、ウガンダだ。
一体どれくらい離れた場所に行くんだろうと少し不安にもなったが、
30分ほどでカマンガに到着した。
次は、30分後にまた出発するというので、フェリー周辺で一服。
島の美しい植物や、湖の上を飛び交う白い鳥たちを眺めた。
それからまた、フェリーに乗船。
過ごしやすい気候、ヴィクトリア湖の景色、のんびりとした時間を堪能した。
ムアンザに戻ると、裁判所、庁舎を通って町の中心、クロックタワーへ。
ちょうどお昼時だったので、今朝行ったレストランに昼食に行った。
それから、また町を歩くと、ごちゃごちゃした市場や
ビンドゥー教寺院、モスクなどを散策し、ホテルに戻った。
日差しが熱くていっぱい汗をかいたので、その勢いで水シャワーを浴びた。
洗濯もした。
窓から入る陽射しが、ベッドの右から左に移動する間、
部屋でゆっくりとくつろいだ。
それから、宿のバーにビールを飲みに出かけた。
サファリという名のビール。
これがなかなか美味しかった。
そろそろいい頃かと、ヴィクトリア湖に向う。
500mlのビールはいい具合に酔っ払わせてくれた。
サンセットめがけて、一直線。
手前で、ちょこっと湖と夕陽が見えた。
ものすごくきれいだった。
急ぎ足で、湖に向う。
ビスマルク・ロックの前には、芝生の広場があり、そこには、夕陽を楽しみに来た人が集まっていた。
ジャストのタイミングの夕陽をバックに、岩とその上に泊まっている鳥がシルエットを作り出していた。
キラキラ光る湖面。
夕陽のオレンジと影になった湖の深い青。
絶景だった。
ここに来てよかったと心から思えた。
夕陽が遠くの山に隠れるまでずっと見ていた。
アザーンが聞こえてくる中、幸せな気分で宿に戻った。
宿のレセプションで、明日の朝のタクシーをお願いした。
料金はかなり足元を見られたが仕方ない(15,000Tsr)。
今日も夜は停電らしかった。
昨日と同じく宿の前の屋台で晩ごはんにした。
今日のボーナスは熱々のフライドポテトだった。
昨日は、肉の串を2本注文したら、
「ディス、イズ、ボーナス」と言って1本サービスしてくれた。
「ウェルカムバック」と言ってくれる彼らの笑顔にかなり癒された。
タンザニアが好きになった。
【住所】P.O. Box1471, Mwanza
【料金】10,000Tsr(シングル、トイレ・水シャワー付)
【設備】1階にバーあり(夜には前に屋台も出る)
【評価】★★★☆☆
TAQWA CLASSIC COACH社のバスで15時間。690km。21,000Rwf。