2時間半待たされ、ようやくマラバ行きのバスに乗り込んだ。
ナクルのバスのスタッフもまた最後まで親切だった。
「俺も日本に連れてけよ」と言い残して別れた。
ナクルより西は、緑が多く畑もたくさんあったし、家も多かった。
ナクルを出て3時間後、エルドレッドの町に到着した。
しばらくすると、大雨が降った。
バスのスタッフは、ナイロビ在住で仕事で地方を行ったり来たりしているそう。
マラバまで直通だと言っておきながら、途中、ゴマという町で降ろされた。
そして、別のマタツに乗り換え。
ぎゅうぎゅう詰めの車内。
いくつかの町を経由した後、道いっぱいにトラックが並んでいた。
国境に近いのがわかった。
マラバに到着する頃には陽は暮れていた。
マタツを降りると、ボダボダがたくさん群がった。
前に座っていたおばさんが、ここに泊まって、明日国境を越える方が
いいんじゃないかとアドバイスしてきた。
しかし、国境を越えた先から目的地トロロまでマタツで15分。
それなら、もうトロロに行ってしまいたかった。
陽が暮れて辺りが暗くなっていたので、国境越えは、
ボダボダに乗って行った方がよさそうだ。
マタツの運転手がボダボダを捕まえてくるから待っておけと言うので任せた。
ボダボダの運転手の最初の言い値が200Ksrだったのに、
マタツの運転手は300Ksr請求してきた。
ケニア・シリングもまだ余裕があったので、
細かいことは気にしないことにした。
おばさんが私がウガンダのイミグレーションまで案内してあげると言って
ボダボダに乗ってついてきた。
また何か請求されそうだったが、
とにかく安全にトロロに着けばよしとすることにした。
まずは、ケニア側のイミグレーションに行く。
気さくな人ばかりで、無事に出国スタンプをゲット。
それからまたバイクに乗ると、今度はウガンダ側のイミグレーションへ。
真っ暗でどこにどんな建物があるかもよく見えないので、
ボダボダで来てよかったと思った。
ウガンダ側のイミグレーションは、立派な建物だった。
窓口は長蛇の列だった。
待っている間にここまで連れて来てくれたおばさんと別れた。
帰りの交通費500Ksr要求されたので払った。
ケニア、ウガンダ、ルワンダの3カ国ビザを持っていたので、
ここもまた無事に入国スタンプをもらった。
時計を見るとすでに20時近かった。
イミグレーションにたくさんいた両替商に、残った250Ksrを
ウガンダ・シリングに両替してもらう。
レートはものすごく悪かった(1Ksr=24Usr)。
6,000Usrを手に入れ、これでトロロに行けるだろうかと両替商に聞くと、
余裕で行けるよとのこと。
イミグレーションを出て、タバコを一服。
ボダボダの運転手が寄って来た。
トロロまで、50,000Usrで行くよと言う。
肌の色が違う私を特別視した話し振りで、かなりの額をふっかけてきた。
その話しを振り切り、町に向って歩いた。
近くにいた警備員のお兄さんに、マタツの乗れる場所はどこかと聞くと、
マタツは今日はもう終わったと言う。
両替ができる場所を聞くと、両替商のいるところまで連れて行ってくれた。
しかし、この暗闇の影にある両替商のデスクの前でお腹の中に入れてある
アメリカ・ドルの現金を探るのは、躊躇われた。
警備員のお兄さんに聞く。
今、6,000Usrあるんだけど、ボダボダでトロロまで行けるかな?
警備員は、町のボダボダが集まるところまで連れて行ってくれ、
運転手に交渉してくれた。
地元の人なら2,000Usrから行けるそうだが、
私の肌が白いのを見て値を釣り上げるんだと、警備員は言った。
4,000Usrで行ってくれる運転手をみつけて交渉成立。
バイクの後ろに乗って、出発。
ウガンダ側のマラバは、なかなか栄えた町だった。
ケニアのモンバサから来るトラックはここで停まって、
カンパラに向かうんだと運転手が教えてくれた。
モンバサは、ケニア第二の人口をもつ最大の港湾都市。
ウガンダの国内石油需要日量のほとんどは、
モンバサ港を介して運ばれる輸入品に頼っているのだ。
サファリツアーのとき、モンバサに行ったコンスタンスが、
モンバサへの道はトラックだらけだったと言っていたのを思い出す。
なるほど。
マラバを抜けると、自然の中の一本道。
真っ暗で何も見えなかった。
途中、バイクのランプが壊れた。
舗装されてはいるものの、穴ぼこの多い道を外灯もランプもなく走るのは
なかなかスリリングだ。
見ず知らずのウガンダ人ドライバーの後ろにいることさえ、
スリリングである。
無事にトロロの宿に着きますように、と心の中で何度も祈った。
30分くらい走ったと思われる頃、道の脇に外灯が現れた。
トロロの町に到着。
お目当ての宿の名前を言うと、運転手は町の人に聞きながら探してくれた。
町外れの宿にたどり着くが、そこがお目当ての宿ではないことがわかると、
また宿を探して走り出す。
1人の男が案内してくれるらしく、その男もバイクに乗った。
行き着いたのは、町外れに一軒ポツンと建つバイクの修理屋さん。
ランプを修理しに来たらしい。
そこにいた何人かの男に、また私のお目当ての宿について聞いた。
1人の男が電話で仲間に聞いてくれた。
そいつはその後、お礼をくれよとしつこくしつこく迫ってきた。
吐く息が酒臭かった。
周りの男たちが笑って彼を止めようとしてくれているのが幸いだ。
しかし、足元には、修理屋で使うらしいナイフが落ちている。
お金で解決したかった。
しかし、私には運転手に払うお金くらいしかない。
残りの2,000Usrを渡してしまえば、一文もなくなってしまう。
ずっとだまっていると、諦めてくれた。
そして、お目当ての宿にたどり着いた。
いろいろと手間取らせたので、ボダボダの運転手には
チップも含めて5,000Usr払った。
宿の警備員のおじさんに案内され、部屋に行く。
寝るだけの宿としては悪くなかったが、思ったよりも高く、
25,000Usrと言われた。
交渉すると、20,000Usrにしてくれた。
明日両替してから払うというのも了承してくれた。
朝食をとって以来何も食べていなかったので、おじさんに相談した。
1,000Usrで何か食べられるだろうかと。
すると、おじさんはフライドポテトなら食べられるよと、
店まで案内してくれた。
宿の近くの屋台。
おばさんに頼んでくれた。
ポテトは3,000Usrするらしかったが、
残りの2,000Usrは明日支払えばいいことになった。
テイクアウトして帰ると、部屋で晩ごはんにありついた。
フライドポテトと卵焼きとキャベツの千切り。
ようやくベッドでゆっくりした。
近くにクラブがあるのか、ドンドンとうるさかった。
翌朝、晴天。
宿のレセプションに、両替してから宿代を支払うと伝えて、出かけた。
宿を出ると、この町のシンボルでもある奇妙な形のロックマウンテンが見えた。
ロックマウンテンをバックにした町の写真を撮っていたら、
「何、俺のこと撮ってんだ?」なんて怒り出す男がいて、
「山撮ってんだよ」って言ったら、なんだと照れくさそうに去って行った。
またカメラを構えていると、今度は「山なんて撮らずに俺を撮れよ」という男が
現れ、これまた照れくさそうな笑顔を見せてくれた。
町の中心にあるスタンビッグ銀行に行き、両替を済ます。
レートは良くない。
それから、地図にヒンドゥー寺院があるのをみつけたので、
行ってみようかと思ったが、道が大きく工事中だったのでそこは諦めた。
宿の近くにレストランをみつけ、朝食。
朝からビールを飲んだ。
ケニアのタスカーもウガンダのビールも500mlだから
1本でもなかなかいい具合に酔っぱらってしまう。
ウガンダの公用語は、英語。
周りの人たちの話している内容がわかるとぐっと身近に感じた。
それから、宿の近くにある市場に行ってみた。
南側の出入り口を入ると、野菜や果物が売られているコーナーに出た。
バナナが多い。
更に奥に入って行くと、日用品を売る店が並んでいた。
その一角に食堂が並んでいた。
そこで手招きしてくれる女性の店に、紅茶を飲みに入ることにした。
トタン製のオンボロの小屋だった。
外は煙っていて、光の筋が映る。
前のCD屋さんでかけている音楽が、楽しげだ。
CD屋の隣の洋服屋さんの女性が、「私のベイビーよ」と赤ちゃんを連れてきた。
抱っこしようとすると汚いからとスカーフを膝に敷いてくれた。
赤ちゃんは、服1枚だけでオムツや下着などは何も付けていないようだった。
糞尿は流しっぱなし。
服も汚かった。
きっと不快だろうに、赤ちゃんはとてもかわいい笑顔で、
お母さんの仕事が大変なのを知っているのか、おとなしく1人で遊ぶ子だった。
お母さんの笑顔も素敵だし、赤ちゃんもかわいいし、何も問題がないのかも
しれないけど、ここの環境がもう少し衛生的になっていくことを心から祈った。
昨日のおばさんにお金を返そうと思ったが、朝は屋台が出ていないようだった。
宿に戻ると、宿代を支払いチェックアウト。
おばさんにツケておいてもらった2,000Usrも預かってもらった。
それから、カンパラに行きたいんだと相談すると、
車でタクシーパーク(マタツのターミナルのこと)まで送ってくれた。
スタンビック銀行の東にカンパラ行きのマタツが停まっていた。
宿のおじさんにお礼を言い、マタツに乗り込んだ。
ほとんど乗客で埋まっていたマタツはすぐに出発した。
【住所】P.O.Box618 Plot10 Market St. TORORO
【料金】20.000Usr(ディスカウント価格。シングル)
【設備】トイレ、水シャワー共同
【評価】★★★★☆
1. ナクル〜マラバ バスで出発しゴマの町にてマタツに乗り換え計6時間。295km。800Ksr。
2. マラバ〜トロロ ボダボダで30分。15km。5,000Usr。