朝、暗いうちに宿を出ると、バスターミナルに向かった。
バスターミナルには、黄色いリバス行きのバスが停車しており、
その中には、国境に向かうのであろう外国人旅行者が
すでに数人乗っていた。
私たちも乗り込み、しばらく待つとバスは出発した。
2時間くらい経った頃、どこかの街に停車していた。
気づくと、バスの中の外国人旅行者がみんなそこで降りているようだった。
どうやら近くにいるバスが、コスタリカとの国境の街
ペニャスブランカスへ行くらしい。
私たちもあわててバスを降りると、
ペニャスブランカス行きのバスに乗ろうと向かった。
バスに乗車しかかったとき、そこにいた外国人旅行者に声を掛けられた。
「国境には、朝食が採れる場所はないわよ。
私はここで朝食を食べてから行くわ。
ペニャスブランカスに行くバスは頻発してるもの、大丈夫」。
コウくんと相談して、その旅行者の言葉を信じ、
私たちもそこで朝食にすることにした。
地元の人に朝ごはんを食べられる場所を聞いてみると、
市場の中の知り合いの食堂を紹介してくれた。
そこで食べたフライドチキンは、久しぶりに美味しかった。
ペニャスブランカスまではタクシーを利用することにした。
100C$で行けるという情報を得ていたので、タクシーの運転手に交渉する。
2人なら300C$だと言われた。
100C$なら、後2人客を乗せたいと言うので、それで手を打つことにした。
運転手が客引きして来るのを待った。
20分くらいすると、夫婦がやって来て、同乗することになった。
4人の乗客を乗せ出発。
しばらく走ると、ある民家の前で停まった。
運転手は、その家から出て来た子どもに荷物を渡した。
1回車を動かすのに、いろんな用事を済ませる。なんとも効率がよい。
しばらく走ると、風車が見えて来た。
窓から入って来る風がとても心地いい。
40分ほどで、コスタリカとの国境の街ペニャスブランカスに到着した。
そのまま、ニカラグア側のイミグレーションに行く。
出国税(3ドル)を支払い、出国カードを書いて渡し、
無事出国スタンプをゲット。
続いて、コスタリカ側のイミグレーションに行く。
こちらは、ものすごい行列。
1時間くらい待たされて、ようやく入国スタンプをもらった。
入国税は必要ないようだ。
そのまま、荷物のX線チェックを受ける。
経済水準の低いニカラグアから、
経済国コスタリカへは、労働者がたくさん渡っていて、
不法滞在者も多いらしく、入国審査が厳しいようだ。
イミグレーションの横にあるバス会社Transportes Deldu社で、
サン・ホセまでのバスチケットを購入した。
12時半の出発までの時間は、両替商が座る椅子に座り、
冷たいコーラを飲んで過ごした。
コスタリカ側には、商店等はなく、
バッグの中にペットボトルを持ち歩き売る女性からコーラは買った。
バスが出発すると、昨日からの不調が悪化し、ずっと眠った。
コスタリカに入ると、ジャングルのような大自然の風景にガラッと変わった。
コスタリカの陸地は世界の僅か0.03%。
そこに全動植物種の5%が生息し、
鳥類・蝶類・ランなどは世界の10%が生息する。
コスタリカは自然の宝庫だ。
途中、小さな食堂で休憩を挟んだ。
何かないか食堂内を散策したものの、値段を見てびっくり。
かなり物価が上がった。
自然を感じながら、6時間のバス旅。
エアコンをつけてくれないバス内は蒸し風呂状態で、汗まみれ。
本当に、サン・ホセは涼しいのか疑えていたが、
日が暮れた頃、サン・ホセに入ると涼しい風が窓から入った。
サン・ホセは、標高1,150m。朝晩はかなり涼しいようだ。
サン・ホセはかなり広いらしく、
自然の中にオレンジ色の街頭が集まる地区が点在している。
到着したのは、サン・ホセのコカコーラ地区。
コカコーラの看板があるのかと思えば、そうではなく、
その昔、コカコーラのボトリング工場として使っていた建物を、
現在はバスターミナルとして使っているからそう呼ばれているらしい。
少し治安が悪い場所でもある。
何人かのタクシーの客引きの中から、妥当と思われる値段を
言ってきた運転手に目的の宿まで連れて行ってもらった(3000C)。
サバナ公園の北側で降ろしてもらい、
宿を探そうと近くのビルの警備員に聞いてみた。
すると、日本人に行くのかと聞かれ、そうだと言うと、
オーナーはアミーゴ(友達)だと言って、宿まで連れて行ってくれた。
オーナーは荻野さんという。
「サバナ喜多側」という宿名は、サバナ公園の北側にあることが由来。
晩ごはんは、近くで軽く済ませて、宿に戻ると薬を飲んで早めに寝た。
翌朝は、さっそくパナマ行きのチケットを買いに出かけることにした。
荻野さんが市場に行くついでに、バスターミナルまで案内してくれると
言うので、一緒に出かけた。
サバナ公園沿いの道から出ている
黄色と紫のツートンカラーのバスに乗車する(190C)。
バスはサバナ公園の西側を通り北側を通り、中心地に向かう。
国立劇場の前の終点まで行くとバスを降りて、
「Tracopa Bus Terminal」に向かった。
バスターミナルには、ちょうど2日後に私たちが乗る
ダビ行きのバスが停車していた。
チケット売り場に行き、チケットを購入。
そのまま歩いて10分ほどの「MUSOC Bus Station」にも行った。
明日、ケツァールを見に行くためのバスチケットを手配。
途中1/3ほどの距離で降りるのだが、
終点のサン・イシドロ行きのチケットを買うしかないらしい(3450C)。
お腹が空いていたので、そのまま荻野さんと一緒に市場に行って、
食堂に入ることにした。
注文したのは、「オジャ・デ・カルネ」というコスタリカ料理。
肉鍋という意味の料理で、牛のあばら肉と野菜もたくさん入っている。
優しい味のスープで、野菜もたくさん採れるし、うれしかった。
それから、サン・ホセの中心地を歩いてみた。
アベニーダ・セントラルは、歩行者天国だ。
多くの人が行き交い、警察は1ブロックごとにいる。
国立劇場まで歩くと折り返して、公園側に向かって歩いた。
住宅街では、どの家も鉄格子が設置されている。
夜はやっぱり治安が悪いらしい。
かつては、麻薬流通の通過国だったが、今では消費国でもあるらしく、
手に入れるのも難しくないとか。
サバナ公園の前を通ると、リスが走るのが見えた。
その日は、宿で晩ごはんをお願いした。
コウくんは、同じ宿の人たちとみんなでカジノに出かけて行った。
翌日は、朝に活動するというケツァールを見るため、
まだ薄暗い早朝5時半に、
昨日一緒に行くことになったモトさんとコウくんと3人で宿を出た。
路線バスで中心地まで出ると、「MUSOC Bus Station」に向かう。
青い、バスターミナルの建物。
ターミナルに着いてしばらくすると、バスはやって来た。
6時半に出発。
トイレ休憩の後運転手さんに、
70kmの地点になったら教えてほしいと伝えた。
70km地点には、ケツァールの絵が描かれたロッジの看板があった。
バスを降りると、そのロッジへと向かった。
ロッジは、2軒あった。
ケツァールを見に行くためのガイドを雇いたいと言うと、
どちらも同じ額を提示された。20ドル。
どうやら、今日はロッジ周辺ではあまりケツァールがいないらしく、
60km地点の別の場所に行ってもらうことになるらしい。
手前のロッジは英語の話せるガイドがいるらしかったけど、
すでに予約がいっぱいだったので、奥のロッジでお願いすることにした。
望遠鏡を貸してもらい、四駆車で観察スポットを目指した。
到着した駐車場から、ざっと200mくらいは山を下ったと思う。
とある木の前でガイドのおじさんが立ち止まった。
「シーッ」と人差し指を立てた。
ケツァールがいるらしい。
ガイドのおじさんが指差す方を見ると、エメラルドグリーンの鳥が見える。
ケツァールだ。
望遠鏡でのぞきこむと、かわいらしい顔についた黄色いクチバシや、
上尾筒の長い飾り羽、赤い腹の部分も見える。
本当にとてもきれいだ。
世界で最も美しい鳥の1羽とされるのも納得。
特に飛び立つときの姿は格別に美しい。
手塚治虫の「火の鳥」のモデルにもなったそうだ。
ケツァールは、メキシコ南部からパナマにかけての
山岳地帯の森林に生息している。
なかなか見ることができないので幻の鳥ともいわれている。
メスのケツァールは、オスほどの魅力はなく、尾が短く少し太めだ。
運のいいことに、1羽飛び立つと、また1羽、また1羽と、
10羽くらいは見たと思う。
そこにいる、あそこにいる、と次々にケァールが姿を表し、
興奮気味でその姿をながめた。
「ケツァールを見ることができると幸せになれる」なんて言い伝えもある。
これほどケツァールを見ることができたら、
数年分の幸せ貯金したかなと満足。
帰りはバスターミナルまで送ってもらって、
そこに停車していたバスに乗車(2,000C)。
サン・ホセに戻ると、昼食をとってから宿に帰った。
夜には、サン・ペドロ・ラ・ラグーナで会い、
同じくコロンビアまで陸路で目指しているノリくんに再会した。
【住所】75mts al norte del Rest. El chicote, San Jose
【料金】15ドル(2人ドミトリー)
【設備】Wi-fi、5ドルで晩ごはんが付く
【評価】★★★★★
1. グラナダ→リバス。バスで2時間。70km。30C$。
2. リバス→ペニャスブランカス(コスタリカ国境)。乗り合いタクシーで30分。100km。100C$。
3. ペニャスブランカス→サンホセ。バス(Transportes Deldu)で6時間。345km。4780C