「リロングウェへの直通バスはもう出てしまったようだ」。
タクシーの運転手にそう言われた。
ンカタベイからリロングウェへの直通バスがあるというから早起きして、
高いタクシーに乗ってバスターミナルにやって来たというのに、
今日だけ6時に出発したってのはおかしすぎる。
かといってどうしようもないので、
ムズズ経由でンカタベイに行くことにした。
乗り合いタクシーでムズズに向かう。
ちょっと大きめの車で余裕のあるシートにゆったりと座り、
のんびりとレゲエを聞きながら、山道を走った。
1時間くらいで、ムズズのバスターミナルの横に着いた。
まずは、バスターミナルの中のチャイ屋で朝食にした。
それから、リロングウェ行きのバスに乗り込んだ。
満員になるまで2時間待ち、10時半にバスは発車した。
乾燥した草原と背の低い木々が並ぶ平野、遠くにところどころ山がある。
ずっとそんな景色。
午前中に南に向かうバスの中、右側の席に座って
太陽を避けようと思っていたが、思ったより出発が遅く、
ほとんどを西陽の中で過ごすハメになってしまった。
バスにカーテンが付いていたのでまだマシだ。
しかし、地元の人は誰もカーテンを使っていなかった。
黒人の肌は太陽に強いのだろう。
そういえば炎天下の中、影のあるベンチより、影のないベンチの方が
人がたくさん座っていたのを見たことがある。
そんな光景は、アフリカ以外にない。
ちょうどリロングウェの街に入った頃、夕陽が沈んだ。
17時半頃、バスターミナルに到着。
同じバスにマラウイで働くJICAの方がいて、ザンビアからやって来る
友だちを迎えにザンビア行きのバス会社に行くというので、ついて行った。
明後日にはザンビアに行こうと思っていたので、
チケットの代金を調べたかったのだ。
JICAで働くタカコさんは、エイズ防止の部署で働くそうだ。
「青森弁を話す外国人みたいな感じよ」と
マラウイ北部の言葉で地元の人たちと話した。
タクシーの運転手と交渉までしてもらい、タクシーに乗車(1,200Mkw)。
首都の中心部とは思えないほど真っ暗だった。
無事にお目当ての宿にたどり着き、部屋に入った。
ここもまたキリスト教の施設だ。
ドミトリーだけど、部屋は私たちだけだった。
まだ遅い時間ではなかったけど、警備員のおじさんに
外に出かけるのはやめた方がいいと言われた。
晩ごはんは、隣のホテルのレストランに行けばいいと
アドバイスをもらい、行ってみることにした。
本当に外は真っ暗で隣の施設に行くのさえ、少し怖いくらいだった。
隣のホテルはなかなか立派なホテルだった。
どうやら韓国系のホテルらしく、レストランも韓国料理屋さん。
真ん中にプールのあるリゾート感ある店で、
お腹に優しそうなワンタンメンと、ビールを晩ごはんにした。
ホテルに戻ると暖かいシャワーを浴び、早めに寝た。
翌朝、たくさん寝たはずなのに、ずっと眠かった。
朝食を済ませた後、もう1度ベッドに入った。
また、眠ることができた。
まるで溜めていた疲れのタンクの蓋が外れてしまったかのように、
疲れが溢れ出た。
ベッドの中で夢と現実の世界を行き来する。
庭で鶏が鳴いているのが聞こえた。
やっぱり「クックワドゥードゥルドゥー」じゃなくて、
「コケコッコー」に聞こえるなとぼんやり思った。
昼すぎ、ようやく重い身体を起こす。
スタッフに、両替のできる場所を聞くと宿に両替商を呼んでくれた。
けれど、小額紙幣はレートが悪いと言われたので、街に出ることにした。
宿の前の道は首都とは思えないほど何もなくて、道の脇には
ジャカランダが彩り、散った紫の花びらが道にたくさん落ちていた。
ランドアバウトを左に曲がると街の中心地。
そこに、ニコ・センターという大きなショッピングセンターがある。
宿のスタッフにニコ・センターで両替できる場所を
聞けばいいと言われていた。
ショッピングセンターの中にはフードコートがあり、
大型スーパーにはさまざまな商品が置かれていた。
そこに自家用車で乗りつけ、買い物をする人々。
外国人の姿も多く見かけた。
その周辺にも両替ができる場所があったけど、
どこも公式レートでしか両替ができなかった。
警備員に教えてもらい、隣の大型スーパーに併設された
両替所に行くと、闇レートでの両替ができた。
そして、ニコ・センターのレストランで昼食にした。
それから、大型スーパーでいろいろと買い物をし、そのまま、
明日のバスチケットを買いにバスターミナルに向かった。
ランドアバウトを左へ曲がると、川がある。
川の側は貧困そうな家々があった。
川は汚かったが、どうやら生活用水になっているようだ。
ショッピングセンターに行った後だったので、衝撃的だった。
貧富の差が大きすぎる。
モスクを右に曲がり、市場を通り抜けた。
雑多な生活感溢れる場所。
市内を走るミニバスの車内は、ぎゅうぎゅう詰めだった。
人に道を尋ねながら、ザンビア行きのバス会社までたどり着いた。
明日の朝5時半集合らしいが、チケットを持っていても、
バスが満車になったら出発するから早めに来ておいた方がいいよと、
そこにいた外国人の男の人が教えてくれた。
その外国人はレバノン人で、マラウイに来て9年なんだと話した。
ホテルまでのミニバスの乗り方を尋ねると、今からそっちに向かうから
よかったら乗せて行ってあげるよ、と言ってくれたのでお願いすることにした。
彼はリロングウェで、靴屋さんを営んでいるそうだ。
宿に戻ると、ユリちゃんも帰っていて、キッチンで料理を作っていた。
ようやく宿代を支払い、ビールを飲んでゆっくりした。
ユリちゃんの作った煮物を少し分けてもらった。
美味しかった。
暖かいシャワーを浴びる。
このシャワーが疲れのタンクの蓋を開けたんだなと思った。
シャワーの後ももう1本ビールを飲み、早めに寝た。
せっかく放出させた疲れを1日で溜め込んでしまうような睡眠しか取れず。
スペイン人とホモの映画を観て、ハイラックスの後ろに乗って
レイブパーティーに向かうというなんとも奇妙な夢を見、
ものすごく寝覚めの悪い朝を迎えた。
朝の4時半、まだ外は真っ暗。
頼んでおいたタクシーは来ず、結局ミニバスでバスターミナルに行った。
バスターミナルには、昨日はなかった魚屋市場ができていた。
ザンビア行きのバス会社の前でバスが来るのを待っていると、
すっかり夜は空けた。
【住所】Glyn Jones Rd | next to Korea Garden Lodge, opposite Lilongwe Golf Club, Lilongwe
【料金】4,000Mwk(4人女ドミトリー、トイレ・シャワー共同)
【設備】キッチン、朝ごはん
【評価】★★★★☆
1. ンカタベイ→ムズズ。シェアタクシーで1時間。1,300Mkw。
2. ムズズ→リロングウェ。バスで8時間。4,500Mkw。